アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

MENU

美容院でカット拒否されそうになった話

年が明けて無職になった。
短期契約のパートが去年の年末で契約満了を迎えたのである。

さて、また就職活動だ。子供の保育の関係で早く仕事を見つけないといけない。
求職中という身分で保育園にいられるのは3カ月間。
ハローワークの頼りになる相談員に会うために予約を入れ、ついでにハローワークから遠くない場所にある行きつけになりつつある美容院にも予約を入れることにした。

www.heidima-blog.com


予期せぬ展開

よし、今回は面接に受かりそうな髪型にしてもらおう。

そんな私の髪の毛は、ちょうど肩に付くくらいの長さになっており、甚だ鬱陶しかった。
毛量が多くて剛毛なので、マフラーを巻く季節になると髪を結ぶしかない。
結ばずにマフラーを巻くと、満員電車で周りの人に髪が刺さるような状態になる。
何となくご想像いただけるだろうか。

せっかく前髪も伸びてきたことだし、真面目ちゃんっぽくアゴまでの長さのワンレンボブにしてもらおう。

そう意気込んで美容院に到着。
いつもの男性美容師が私の顔を見て挨拶した。
前回来たのがいつだったかという会話をしながら私の頭をいろいろな角度から観察する美容師。
今回はどうしたいのかと聞くので、アゴの長さくらいにカットして欲しいことを伝える。

「うーん…  うーん…  」

なんだか悩んでいるようだ。私の髪の多さはもう知っているはず。

「…前回も大変でしたよね… 」

あ、確かにこの髪をどうやってまとまりやすい髪型にするか考えてくれたのは覚えている。
私の髪の毛は多くて硬い上にうねっているので、ただ単純に毛量を減らそうと髪を「すく」と逆に広がってしまうらしい。

美容師「…うーん… 切りたいんですよね?」

私「え… はい、切りたいですけど…」

美容師「このくらいの長さになってやっとこのくらいにまとまってくるので、こんなこと言うと商売っ気ないって言われちゃうんですけど、切らないほうがいいと思うんですけどね…」

私「え… そう…ですか…」

美容師「切りたい気持ちはすごく伝わってくるんですけどね、この髪質はロングヘアーが一番楽だと思います」

私「じゃあこれから伸ばすのを前提に、ちょっと揃えてもらったりしたらいいんですかね?」

美容師「…揃えなくてもいいと思います。意味ないと思います。逆にヘタにハサミ入れると広がっちゃうんで」

私「え…  じゃあ今日はこの辺で失礼したほうがいいでしょうか」

美容師「うーん…」

私「…」

なんだこれ。
こんなやり取りを20分近く続けただろうか。
美容師は取り合えず「切る」とは言ってくれた。
ただ問題は私の髪質だけではないと言い始めた。

美容師「アゴの長さくらいにしたいんですよね?そうなると、お客様は後頭部が出てるんで、頭の奥行きがすごいことになりますよ。
レオンのナタリーポートマンですよ」

私の髪にクシを当てながら説明する。
ナタリーポートマンなら私が部屋にポスターを張るくらい昔大好きだった女優である。
これはすごくネタっぽいけど本当の話だが、私は中学生のころナタリーポートマンみたいな鼻になりたくて、ちょうど鼻骨のある辺りを竹の定規でトントンたたいて鼻を腫れさせていた。
気のせいかもしれないが、たたいた直後の3分間くらいは1ミリほど鼻が腫れて高くなるのだった。それを鏡で斜めの角度から見て3分間の幸せに浸るのである。改めて文字にするとヤバさがヤバいな。

私を形容するのにあのナタリーポートマンが出てくる日が来るなんて夢にも思っていなかった。
でも勘違いしてはいけない。
ボブにしたらナタリーのようになるのは私の後頭部であり、ボブにしたからといって私の顔は1ミリもナタリーに近づかないのである。
第一、後頭部が出ていたって髪質すら全然違うから「ナタリー化」するのはあくまでも出っ張り具合のみである。

それでもちょっと喜んでいるアラフォーの自分がいる。


いざ断髪

私はナタリー化することを了承し、髪を切ってもらうようお願いした。
そこでハサミ入れとなるのが流れと思いきや、美容師が手にしているのはバリカンである。

「じゃあとりあえず長さ取っちゃいますね」

彼は私の髪の毛にバリカンを近づけると、アゴの長さくらいまで髪を「刈った」。
私自身も驚いたことに、その作業は彼の右手のみで行われた。左手で私の髪を抑えたり引っ張ったりせずとも、バリカンは見事に私の下ろした状態の髪の毛を刈り揃えた。

「すげえな」

美容師も思わず感嘆する私の髪の硬さ。商売道具のハサミが刃こぼれするのを危惧してのバリカンだったのだろうか。
そして刈り揃えられた私の髪の毛の断面を下からのぞき込み、彼はその厚さに満足そうだった。

「何とか人形みたいになりましたね」

私もせっかくだからとその断面を手で触ってみたが、なるほど、言うなれば新品の「亀の子たわし」だ。
そしてまだヘアースタイルは完成していないのに私に手鏡を持たせ、合わせ鏡で私の後頭部を確認させる美容師。

「ナタリーポートマンですね」

まだ言いますか。こっそり照れる私。だから誰も顔が似てるなんて一言も言ってないって。
しっかりとその手鏡で自分の顔を確認する。見慣れた弥生顔だ。


彼は私の頭頂部の髪の毛を一握り掴み、
「一般の人の髪の量ってこんなもんですから」
と言った。
じゃあそれ以外の髪を全部刈ったら私は普通の人になれるのか。
いや、昔の久保田利伸になりそうだ。

「じゃあ髪の毛どんどん取っていきますねー」

どうやら彼に言わせると、私の髪の毛は「切る」ものではなく「取る」ものらしい。
頭頂部の髪をまとめ、それ以外の髪をほんの少量ずつすくい取りながら、それを根元の方からハサミで切り落としている。
シンプルに毛量を減らしていくようだ。

それをしばらく繰り返すと私の頭はだいぶ軽くなった。
促されるままに頭を触ってみると、自分の地肌を近くに感じることができる。

地面に散らばった毛髪を見せられる。ホウキでまとめたら猫1匹の大きさはありそうな毛の塊。それが長さ的に5cmほどしか切っていない私1人から出た毛であるという事実は信じがたいものがあった。

その後シャンプーをしてもらい、髪の毛を乾かす際に、どうやったら髪がまとまりやすくなるかアドバイスを受けた。

「ドライヤーで乾かすときは、あまり強風ではなく弱めの風の方がまとまりますよ」

そういいながら髪を乾かしていくが、なかなか髪は乾かない。

「ん。乾かねぇや」

そう言って強風に設定を変えてガンガン乾かす美容師。この数秒前の自分の発言にとらわれない潔さには逆に好感を持った。
髪の量は減らせても太さは変わらず剛毛なので、水分を含む力は存分に残っているらしい。

完成した髪型は自分では気に入った。
美容師は満足そうな私を見送りながら、
「お騒がせしました。またお待ちしています」と言った。


今のところカット後の私の髪は大人しくしている。
この季節はニット帽を被ることも多く、それも手伝って髪は落ち着いてくれる。
あとはこの聡明そうな髪型が手伝って面接に受かれば言うことなしだ。
緊張すると汗ばんで、その湿気で髪が膨らむのが心配だが、
「髪が多すぎるから」という理由で面接に落ちたなんて聞いたことはないので、
自分を信じて今日もまた1通、履歴書を送る。

年の瀬スキャンダル 消えた5万円

新年明けましておめでとうございます。

更新頻度のムラだけが自慢の我がブログへようこそ。
今年も私のダメ人間っぷりを世の中に晒していく気満々なのでよろしくお願いいたします。


いや、書きたいことは山ほどあるのだ。
毎日のように変なことが起こる私の人生。
「あ、これブログに書きたいな」
と思うことがたくさんあるのになぜか更新できないのだ。
理由は明白、私がめんどくさがりやだからである。
そんなやつはブログなんてやめちまえ!

そう自分に言いたくなるが、書ける日だって今日のようにたまにあるし、
読んでくれる方がいるので頑張れ自分。
ブログは続くよどこまでも~



さて、今日は2018年の年の暮れに我が家で起こった事件について書きたい。

その日、私は走っていた。
街の雰囲気もクリスマス&年末ムードの中、朝からリュックサックをワッサワッサいわせて走る一人の年増女。
彼女は何をそんなに急いでいたのか。
友達の結婚式のためにご祝儀の5万円を新札に交換しようと銀行へ向かっていたのである。
出勤前の限られた時間で、開店したばかりの銀行にダッシュで駆け込んだ。

両替機はすでに先客の中年男性が使用中だった。
その後ろに並ぶ私。
ただならぬ息遣いに気付いた男性は私の方を振り返る。

はぁーっ はぁーっ

走ってきたために息が切れているのだが、どうやら男性は私が(待ってるんだから早くしてよね)の溜息をお見舞いしていると勘違いした模様で、
「すいません」
と消え入りそうな声で私に頭を下げた。

いえいえ!大丈夫ですから!と言いたかったがもう肩で息をしていた私は首をちょろっと横に振るだけで精一杯だった。
待っている間に折り目のついた1万円札を5枚、財布から出しておく。

両替を終え怯えた様子でこちらを見ながら小走りで走り去る男性。

私の番だ。
両替機の前に立ち初めて両替するためにはキャッシュカードが必要なことを知った。
スイスでは仕事で両替する機会がたびたびあったが、確かにカード使ってたわ。
日本もそうだったっけと、都合のいい時だけ頭が勝手に外国かぶれになる。
そして私は駅と職場の間にあるからこの銀行に来たのだが、この銀行に口座を持っていなかった。

案内係の若い女性がいたので、窓口で新札に交換できるか聞いてみると、
交換することは可能だが手数料がかかるとのこと。

一瞬迷ったが、それならちょっと歩くが口座のある郵便局があるのでそこに行こうと思い、
女性に頭を下げて銀行を出た。


今度は郵便局に走る。
平日は毎日10時から働いていた私は家の近所の郵便局の窓口は時間的に利用できなかった。
職場の最寄り駅の近くの郵便局なら朝寄っても勤務時間に間に合う。
またゼーゼーいいながら郵便局にたどり着き、窓口の男性に新札に交換してほしい旨を伝えると信じられない返事が。

「この辺りの地域の郵便局では新札に交換するサービスは行っておりません」

うちの近所の郵便局はやってくれていた。
なぜだ。
そしてなぜご祝儀は新札でなければならないんだ。
日本はなんてめんどくさい国なんだ。
例のごとく頭が勝手に外国人風になる。

ここは本物の外国人に愚痴を聞いてもらうしかない。

郵便局を出て職場に向かいながらスイス人夫に電話をかけ、日本のめんどくささを愚痴る。
私が時間が無いのに走って銀行と郵便局に行き、結局両替ができなかったなんて頭にくるわ。
外国人モードの私はブロークンなフランス語で小走りしながらまくしたてる。
お札が新しくなくたって価値は変わらないのに。
キィー!
私はもう今日のでウンザリだから、明日あなたが口座持ってる銀行に行って両替してくれるかしら?
キィー!

マシンガンのようにイライラをぶっ放す私を相手に夫は「NO」と言えるわけがなかった。




そして職場について何事もなかったかのように楽しく就業し、終業時刻を迎える。


電車に乗っていつも通り家路につく。
そのときふとネットで見た情報が頭に浮かんだ。
コンビニのATMは新札が出てくる可能性が高いとか。。。

ふんふん。
別に時間もあるし、一度試してみようかな。
リュックサックから財布を取り出し、5万円を出そうとすると、

無い。

無い!


財布を何度も目を凝らして見ても朝入っていた5万円は無かった。

きっと焦っていたからリュックサックにそのまま放り込んだのかもしれない。
リュックサックの隅々まで探す。

無い。

嘘でしょ。
あんなに走って焦っていたからどこかで落としてしまったのだろうか。
でも銀行で5万円を出したところまでは覚えているが、その後5万円を見た記憶はない。
銀行で出して、また財布にしまってそれをリュックサックに入れて郵便局に向かったはず。
郵便局では財布を出していないはず。

もうイライラしていたのも手伝って記憶が曖昧だ。

泣きそうな顔で帰宅。夫に5万円をなくしたことを告げる。
いつもは言いたくない「ごめん」という言葉は今夜ばかりは惜しげもなく言いまくった。

何を隠そう、私の夫は非常におっちょこちょいで、しょっちゅう失態をしては私にチクチク責められている。
忘れ物も非常に多く、過去にATMで引き出したお金を取り忘れたことが2度あった。
私は泣くほど悲しんで「なんで」というミスってしまった人には本当に答えようもない質問を繰り返した。
私は本当に意地が悪いのである。

そんな私に対し、夫は冷静だ。

「バッグをちゃんと見た?ポケットも?」

人間ができている夫は頭ごなしに責めたり決してしない。
リュックサックの中身をすべて出し、財布の中身もすべて出し、隅々まで確認するが出てこない。
出てこないが、夫は怒らない。そして、

「今まで僕が無駄にしたお金は5万円よりも多いから」と優しく微笑んだ。
やべ。書いてて泣きそうだ。めちゃくちゃいいやつじゃん。おっちょこちょいすぎるけど。

そして彼は続けた。

「警察に電話した?」

私はしていなかった。
財布を落としたならまだしも、ナマの、裸んぼうの1万円札を5枚まとめて落としたと言っても
万が一見つかったとしても名前が書いている訳でもないし、私のお金だと証明できる術がない。
夫はダメもとでも連絡しておくことを勧めた。

しょんぼりしながら職場の近くの交番に連絡すると市の警察署につながった。
今のところ5万円を拾ったという届はないが、
念のために明日の朝にでも遺失物届を出しておいたほうがいいと言う。


このまま5万円が見つからなかったら貧乏性な私は友達の結婚を心から祝えないと思った。
5万円をなくし、5万円をご祝儀として包んだら結婚式の出費は10万円。
私の月のパート代の半分以上だ。
もうやさぐれた母は子供の世話も手につかない。

もう落としてしまったものはしょうがない。
ただこの落としてしまった事実を頭の中から消し去りたい。
最初からこの5万円が無かったことになればいいのに。

それか拾ってくれた人のことを考えよう。
困っているホームレスの人が拾ってこの5万円で美味しいものを食べ、あったかい布団で寝たかもしれない。
そう思うと親切した気になって気持ちが晴れた。
いや、晴れなかったけど、貪欲な小金持ちのおばさんに拾われて高級ワインに使われるより、
ヤンキーに拾われてパチンコに使われるよりずっといい。

そんなことを考えながらウジウジしていると、夫がもう子供の世話も食事の片づけもやるから寝たらと言った。

ショックでウジウジから抜け出せない私は言われるがままに寝床に着いたが、
布団の中でも頭は5万円のことでいっぱいで、全く寝付けそうにない。

なぜだ。どうやったら5万円をなくすことができるのか。
もう5万円なんて戻ってこなくてもいいから、どうやって人は5万円をなくすことができるのか、
神様!それを見せてください!

都合のいいときだけ神頼みだ。

銀行で案内係の女性と話したときは5万円を手に持っていた。
それが最後の確かな記憶だった。
確かと言っても私の「確か」は疑わしい。
もしかして最初から5万円なんて持っていなかったのでは!?
しかし郵便局で5万円を引き出した時の明細書は存在した。
それだけが真実だった。


布団の中でいろいろ考えた。
友達の結婚式で笑顔を作る練習をしておこう。
出てくるご飯は残さず食べよう。
お酒はできるだけたくさん飲もう。
何なら飲んで飲んで、そこで5万円紛失事件の記憶が永遠になくなるまで飲み明かしたらいいじゃないか。


そんなことを考えながらどうにか眠りに落ちたらしく、目が覚めた時は朝だった。


夫と子供に見送られ、交番に寄るために早めに家を出る。
すっかり通い慣れた駅なのに交番には近寄ったことすらなかった。
中には若い警察官が3人も私を出迎えてくれた。

「すいません、落とし物をしたので遺失物の届出をしたいのですが」
警察官の一人がペンと一枚の用紙を出した。
何を失くしたのかと聞かれ、現金5万円だと答える。
警官「財布ですか?」
私「いいえ、現金だけなんです」
警官「封筒などに入れていたんですか?」
私「いいえ、裸です。そのまんまです」

警察官3人の顔が一斉に「あちゃー」となったのを私は見逃さなかった。

だよね。

私は用紙に記入を続けるが落とした場所を書く欄で手が止まる。
どこで落としたかわからないからである。

警察官「じゃあここの駅名を書いといてください」
私「えっと・・・」また手が止まる。もう失望した私は漢字が出てこない。あの鳥の名前、いつも書いてるのに。
警察官「あ、平仮名でいいすよ(あちゃー)」


もう泣いてもいいですか。
5万円は落とすわ、漢字も書けないわ、私この先大丈夫でしょうか。

もう開き直って平仮名で大きく駅名を書き、念のために警察官に聞いてみる。

私「ちなみに、今までそのまんまの状態で落とした現金が返ってきた前例はあるんでしょうか?」

警官「んーーー、聞いたことないかな。難しいと思いますねぇ(微笑)」

ですよねぇー。


もう届けたのであとは待つのみ。
念のために昨日の朝に荒い息で訪れた銀行に寄ってみよう。

銀行に入ると、そこには昨日と同じ両替機。
そして昨日とは違う案内係の女性がいた。

私は彼女に昨日の朝にここに来てとった行動を細かく説明した。
昨日ここにいなかった彼女はふんふんと頷きながら私の話を聞き、
確認するのでお待ちくださいと言うと窓口の奥へ行った。
他の女性に私の話を伝えているように見える。

3分くらい待っただろうか。
同じ女性がもう一度私のところまで来て、
「申し訳ございませんがもうしばらくお待ちいただけますか?」
と言いに来た。
承諾したものの、仕事の時間も迫っておりあと何分待たせられるのか少し不安になった。
まさか昨日の朝に勤務していたスタッフが出勤するまで待たせるつもりだろうか。
落とし物の5万円が無かったのなら早く解放してほしい。

そう思って時計とにらめっこしていると、窓口から他の女性スタッフが私を呼んだ。
さっきの案内係の女性よりもベテランな雰囲気の女性だった。


女性「お客様、実は昨日5万円の落とし物がありました」


私(うぉぉぉおおおおおおーーーーーーー!!!!!)

顔の表情が緩むのを堪えられない。でもどうなる!?

彼女が言うには、床に5万円がパラっと散乱していたのを勤務していたスタッフが見つけたということだった。
時間帯と状況から恐らくそれは私が落とした5万円に間違いないだろうと。
彼女は私の身分証明書のコピーと引き換えにその5万円を返してくれると言う。
この銀行に口座も持っていないおバカで哀れなこの私に。

そして嘘みたいに5万円が窓口の水色のトレーに置かれた。
私が落としたシワのついたお札だ。

ちょっと早いクリスマスの奇跡が起こったのだ。

私は爆発している喜びを一生懸命に隠した。
私の中の私はめちゃくちゃ飛び上がって喜びの雄叫びを上げている。
でも窓口の女性の前では照れたような笑みを浮かべながら何度も頭を下げて礼を言った。
そのまま窓口で痛くも痒くもない300円ちょっとの手数料を払って5万円を新札に変えて銀行を出た。


足取りは軽い。
街の色はいつもよりも鮮やか。
生まれ変わったかのような実に晴れ晴れとした気分。

こんなに機嫌がいい自分はここ数年現れなかった。

今なら他人に足を踏まれたって、頭から水をぶっかけられたって、顔に鼻くそをつけられたって怒らない。


そんな状態でさっき交番で手続きした紛失物の届出を取り消しに行った。

さっきと同じ警察官がいる。
銀行でお金を見つけたことを伝えると、「よかったっすね!」と言ってくれた。
ホントだよお巡りさん!やった!やったーーーー!



しかし気になるのはどうやって5万円を床に「パラっと」落としたのかである。
銀行に防犯カメラがあるおかげで他人が拾って持ち逃げする事態は避けられたのだろうから、それは私にとって不幸中の幸いだった。
そしてその防犯カメラに写っているに違いない哀れな自分の姿を見てみたいが残念ながら不可能。

きっと財布に入れるときに財布ではなく"宙に"入れたんだろう。
それくらいしか考えられない。


夫のおっちょこちょい度を責めすぎて罰が当たったんだ。
そう思ったので2019年は他人に優しく、自分にも優しく生きていこうと誓ったのであった。

おかげで友人の結婚式は心から祝福できたし楽しめた。
素晴らしい式だったため、帰りの電車の記憶はない。


そして年は明け今日もまた、午後に書留で送った履歴書の記載事項に誤りがあったことがついさっき判明したので
明日は朝から「送った郵便物を止める」という予定が入った。


経験は財産ですから。

再就職したら他人に興味が湧いてきた

先日もまた職場に着いたと思ったら早々にドロンした私。

www.heidima-blog.com


ちょっと前までは私が早退すると言うたびにちょっとかしこまった顔で
「そうですか、わかりました。お大事に」と言ってくれていた上司も、
もうだいぶフランクな雰囲気で
「あらぁ、大変ですねぇ。わかりました」
と言ってくれる。

もう私の早退もだいぶ板についてきた。
(またかよ・・・)と思われても気にしない。
一番またかよと思っているのは私なのだから。



そして私が早退した翌日の朝。
早退したときにちょうど外出してしまっていた他の上司に挨拶した。


私「おはようございます。昨日はまた早退してしまいすいませんでした」

上司「昨日はお子さんどうしちゃったの?また発熱〜?」

私「いえ、今回は長男のほうが額をケガして病院に付き添ってきました」

上司「え、大丈夫なの?」

私「幸い数針縫う程度で済みました」

上司「そっかぁ!大変だなぁ。やんちゃなんだな。きっとそういう子は大物になるよ、うん!」

私「大物ではなく大仁田です。厚です」


とは流石に言えなかった。
でも言いたかった。



パートとして働き始めて早1ヶ月半。

楽しい。

まず何が楽しいかって1人で電車に乗れることが楽しい。イヤフォンで音楽を聴きながら自分の世界に浸れることがこんなに幸せだと感じたことはない。
満員電車だろうが気にしない。大好きなバンドのライブ音源を聴きながら目をつむればそこはライブハウスになる。
陶酔しすぎて満員電車でスーツのオジサンたちの上をダイブしないようにすることだけは気を付けたいところだ。


駅に着いたら会社まで5分ほどの道を歩く。
両手をプラプラ振りながら歩く。音楽に乗りながら歩く私の足取りは軽い。
そこには繋いだ手を振り払って逃げ出す3歳児もいなければ、オムツと着替えでパンパンのバッグもない。

ああ、自由とはこのことを言うのか。



職場では様々なタイプの人たちと一緒に働いている。
そんなに大きな会社ではないが、何だかいる人みんなが様々なバックグラウンドを持っているようだ。
長く外国に住んでいた人、海外経験はほとんどないのに語学が堪能な人。
誰もが知っている名門大学出身者。
日本人のみならず、外国人もいる。

みんながどうやってこの会社で働くに至ったのか。
普段はどんなことに興味があるのか。

みんな仕事のことは話すが、それ以外のことはあまり話さない雰囲気。
だからなおさら気になって仕方がない。

数名いるパートの主婦同士は一緒にランチを食べたりするが、それ以外の人たちはプライベートな話を滅多にしない。
いろいろ気になるがガツガツ話しかけてウザがられたらやだな。それ以前に休憩時間が共有できないから話す時間がないな。
みんな休憩時間に周りの人との接触を断つっていうことは、あまり仕事以外のことで関わりたくない人なんだろうな。
私はしばらくの間そう思っていた。

しかし、スキを見計らって個々にちょっと仕事以外の話題をふってみるとどうだろう。
みんなこちらが驚くくらい雄弁に話し始めるのである。
あれ、みんな関わりを持ちたくないワケではなさそうだ。
私にとっては、そんなにおしゃべりが好きな人が一日に一言も私語を話さず、ランチも黙々と一人で食べていることでストレスが溜まらないのか心配になってしまう。
私は話すのが大好き。話したいことを話さないでいるのが苦痛な人間だ。



そんな私は、会社のほぼみんなが見渡せる位置に座っている。
そして、実はこっそりみんなの言動を観察しながらボケるタイミングを見計らっているのだ。

ネタは仕事のこと限定である。
昼休みでもないのにプライベートな話を持ち出す勇気もない。
あれ、さっきみんなのプライベートが気になるみたいなこと書いたばっかりなのに、何言ってんだ自分。

私は確かに彼らのプライベートなことも気にはなるが、その本心は彼らとお近づきになりたい、もっと気軽な関係になりたいということのようだ。
そのために私はボケ役に徹して、彼らの素の部分を引き出してやるんだ。

仕事ももちろん真面目にやってはいるが、常に周りの言うことにも聞き耳を立ている。
え、これじゃまるでバラエティ番組に出ているひな壇芸人みたいじゃないか。しかもポジションはひな壇の後ろの端っこだ。

私がちょっとフザけたことを言うと、みんな笑ってくれるようになった。
今朝は別にボケたかったわけでもなく、素で曜日を間違えてアタフタしたら、それでみんな大爆笑していた。
ボケ芸人のめんどくさいところは、狙って笑われるのは大喜びなくせに、狙っていない素ボケで笑われるとちょっと悲しくなるところだ。


先日うちのスイス人夫に、一緒に働いている人たちが興味深いという話をした。
彼はその話を聞いてちょっと驚いていた。
私はつい3か月前くらいに、「もう新しい人付き合いはいらない。今いる友達と家族がいればそれでいい」みたいなことをすかしてたらしい。
確かに言った気もする。
そして今は新しく出会った人々に興味深々である。自分の言うことほど信用できないことはない。
そして彼は言った。

「なんか俺のお母さんに似てきたね」


彼のお母さん、つまり私の義母は、それはそれは人と会って関りを持つことが大好きな人なのである。
得意技は電車で友達を作ること。
スイスの電車は基本的にボックス席が多いので、前や隣に座る人と話そうと思えば話しやすい雰囲気だ。
しかし義母は数年前に日本に遊びに来たときも、なぜか山手線の中でメキシコ人女性の友達を作っていた。
ツワモノだ。


そうか。わかったぞ。
3か月前にもう人と会うのがめんどくさいと言ったとき、私はママ友というシガラミに恐怖していたんだ。
子供同士が仲良いから親も気が合うとは限らない。

今だって同じ職場にいるからといって気が合うワケでは決してないんだ。
肝に銘じておこう。
とはいっても3カ月の短期契約の職場なので、私がどんなにウザがられようがあと1か月くらいで皆とはお別れ。

や、やばい。泣きそうだ。



2年間も仕事せず会話ができない子供の相手ばかりしていたからこんなことになったのだろうか。
もうすぐ山手線で友達ができる気がしている。

私の早退日記

日曜日の夜、私はサザエさんシンドロームに陥っていた。
その理由は旦那が一週間出張で家を空けるから。

“ワンオペ”デビュー

私は今日から一週間、パートとして働きながら一人で家事と子供の世話をすることを強いられていた。
いつもより1時間早く起きて弁当を作り、子供を起こし着替えさせ、朝食を食べさせ、歯の仕上げ磨きをし、自分の化粧もし、怒鳴らず急かさず余裕を持って家を出るのが目標だ。

朝の余裕を生むものは前夜の準備。
今日はいつも子供たちと尋常でないテンションでじゃれ合う旦那もいないことだし、有意義な会話をしながら夕食をとり、子供たちに普段は制限しているテレビを見せご機嫌取り。
サザエさんを鑑賞する息子たちの隣で、私はシンドロームしながらカツオが『嘘も方便』を会得していることを知り、そんな小学生はちょっとイヤだわと思っていたら長男がちょうどそのタイミングで「これもう見たくない」と言ったのでテレビタイム20分足らずで終了。わかってんな息子。

その後は楽しく親子三人で有意義な会話をしながらお風呂に入り、明日は早起きだからもう寝ようと100回ぐらい言って、まだまだお風呂で遊びたがる子供たちを退出させ、次男がその辺に放尿する前に素早く紙おむつを装着し、もう明日着る服を着せてしまいたい気持ちをギリギリのところで抑えてパジャマを着せた。

あとは歯磨きを済ませ、ウグイス嬢並みに上等な発声で絵本を3冊読み、旦那には5年以上見せていないであろう、とっておきの優しい笑顔で2人の息子に私の彼らに対する愛を伝え、おやすみと言って笑顔を崩さずに舞台袖にはけた。

なんという手際の良さ。
親が2人いると余計に時間がかかるミステリーの謎解きはさておき、弁当の下準備をして、元喫煙者のせいでか何でか知らないがやたら目立ちたがる私の鼻毛ちゃん達をカットした。
前にも書いたが、旦那がいないと鏡の前にいる時間が増える。

www.heidima-blog.com

当日の朝

そして今朝、6時に起床。
シナリオは完璧。
あとは子供たちの気持ちをどこまで持っていけるかがカギ。

緊張のせいか変な夢を見た。
義理の両親(スイス)が私の実家(とうほぐ)に滞在しに来ていた。
私の母は、朝食にクジラの塩焼きを出した。
私は世間や国際事情に無頓着な母にちょっと憤慨。
そしてすぐに夕食の時間になり、出てきたのはイルカの塩焼きだった。
これはやりすぎだ。イルカなんて私も食べたことないのに。
おかしいことにクジラもイルカも直径が15㎝ほどの個体で、丸焼きだった。

これは夢だが、実家に初めて私の旦那(当時は彼氏/来日1年目)が来たときに、私の母が朝食に山盛りの天ぷらを出したのは紛れもない事実である。


変な夢から目覚め変な気分で息子の弁当を作る。
それが終わったので子供たちに声をかけるが起きる気配は全くなし。10時間以上ぶっ続けで寝られることが憎ら、いや、羨ましい。
こんなとき、私はしめしめと息子たちの着物(パジャマ)を剥ぎ取り寝たまま着替えさせてしまう。

そんなこんなしているうちに、息子たちが目を覚まし、まあまあな機嫌で朝食を食べ始める。

その後の記憶はほぼ無いが、汗ばみながら次男を保育園に送り、ヒーヒー言いながら長男を幼稚園に送った。
あとはファーファー言いながら自転車を駐輪場に停めて無理やり鼻呼吸しながら駅のホームまで移動し、なまはげの赤い方みたいな風貌で電車に乗る。


今朝、電車に乗った瞬間の達成感ったらない。
iPhoneのプレイリストだって最近めっきり聞かないようなやつ聞いちゃう。
ビョークだ。ハイパーバラッドだ。ブンブンだ。


職場に着くと、やっといつもの日常が訪れた感じ。
いつも通りに職場の人たちに挨拶をし、自分の席に着いてPCを起動する。
まだ汗が引かないので、下に着ているシャツにアイロンかけていないのは知っていたがセーターを脱ぐしかない。


加湿器さながらにむんむんと蒸気を発しながら仕事を開始し、しばらくたってから携帯のバイブ音が鳴っているのに気付いた。


いつもの嫌な予感。


最近の私の特技、早退


そして私は今日、また2018年ベスト・ソータイストに一歩近づいた。

www.heidima-blog.com



仕事開始から1時間半後、長男の幼稚園から連絡があった。
今回は発熱によるお迎え要請ではなく、息子が転んでおでこを切ったので病院へ付き添ってほしいというものだった。
旦那は遥か彼方。私しかいない。何より出血しているということで心配だった。

また毎度の如く、周りの社員の方々に深々と頭を下げる。申し訳なさでどちらかといえばつり気味な私の目は今日ヒュー・グラントくらいまで下がったはずだ。


パートの私は働かないと給料が出ない。
息子も心配だが、給料が減るのも痛いなと考える私は冷たい母親なのかなぁなんて、さっき乗ったばかりの電車に乗りながらぼんやり物思いに耽る。



息子は結局、額を4針縫うケガをしていた。
転んだ先に運悪くコンクリートの縁石のようなものがあったらしい。
幼稚園の先生たち計4名に次々に謝られた。人様の子を預かるなんて気苦労の多い仕事に違いないのだ。
いろいろな意見はあるだろうが、幼稚園や保育園で子供たちに絶対にケガをさせないなんて無理な話。しかも我が子のことは私がよくわかっている。
まっすぐ黙って歩いていたら逆にお腹でも痛いんじゃないかと心配になるような子だ。


そんな彼は病院のベッドで私を含め大人の女性3人に押さえつけられながら麻酔の注射を打たれ、泣きはしたが思ったよりも暴れなかった。
先生に額を縫われている最中も、最近彼の中で流行っているウ〇コ系の造語を言って看護婦たちを笑わせていた。
施術の最後に、おでこにちょうど切り餅サイズの分厚いガーゼを当ててくれた。

頭を打つと脳へのダメージが気になるところだが、先生が丁寧に説明してくれたのでそんなに心配はしていない。
頭痛がしたり痺れがあればこんなに元気に走り回れない。むしろ頭打った人並みにぐったりしたのは私の方だった。
昨夜からの緊張と興奮が突如心配に変わり、それも落ち着いて何だか気が抜けた。


いや、戦いはまだ終わってはいないのだ。
おでこに切り餅をつけてスヤスヤと寝ている彼を甘く見ると明日の朝に痛い目にあう。


出張から帰ったら旦那は長男の傷を見てショックを受けるに違いない。
でも傷は勲章だし、思い出だ。
私は自分の薄くなって消えそうな気配を見せる手術跡を撫でながらちょっと寂しくなったりすることさえある。
そして小さいころ姉と喧嘩して彼女にケガを負わせ、それが今になって家族で飲むときの酒の肴になる。(ごめんよお姉ちゃん!)

男の子だし、この先もっと派手にケガをすることもあるに違いない。
今日のは人生最初の記念の4針だ。

追いつけ追い越せ、大仁田厚。

子供のために早退する母親に罪は無し

パートで働き始めてまだ一カ月足らず。
一昨日また保育園から子供が熱を出したと呼び出しがあり、私の早退は気づけば4回目。

面接の時点で私は明確に伝えておいた。

「最初は週3〜4日の勤務を希望しようと思っていましたが、どっちみち子供の発熱やらで休まざるを得ない日があると思うので、ご迷惑をおかけすることを前提に週5日間勤務を希望します」と。

その条件でもありがたく採用していただき、そして有言実行、まだ一カ月と経っていないのに4日も早退している。

あるときは会社に着いて1時間ちょっとで保育園から電話。
そして一昨日は終業時刻まであと2時間というところで電話。


一応、旦那に迎えに行けないか聞いてみるが、論文の締め切りが近いから無理という返事。

私が迎えに行くしかない。
パートだから働く時間が減れば給料も減る。
しかし今の私はそれを残念とは思わず、むしろパートで良かったと思う。
これで正社員なら申し訳なさすぎて居たたまれない。

上司に伝えなければ。

気が重い。


私:「すいません、また子供が熱を出したと保育園から連絡がありまして、大変申し訳ないのですが早退させていただきたいのですが」

上司:「そうですか。わかりました。お大事にしてください」

私:「ほんっとうに度々でほんっとうに申し訳ありません。お先に失礼します。ほんっとうに申し訳ないです。すいません」


申し訳ない顔をし過ぎて最近ますます眉間のシワが濃くなったので、嘘か真か知らないがハリウッド女優御用達というシワ取りシートを眉間に貼って寝ている。


しつこいようだが私は勤務開始して一カ月足らずで4日も早退している。
面接のときに早退や欠勤することもあるだろうと思っていたが、なんとなく一カ月に2、3日かなと思っていた。

甘かった。
早退は欠勤よりもタチが悪い。

私の職場の従業員数は決して多くなく、その中にはパートの主婦が数名いて、週に3日しか出勤していない人も何人かいるので、誰かが欠けていても全く違和感はなく、それが当たり前。
なので朝から欠勤していてもそんなに目立たない。

しかし早退となるとどうだろう。
朝の出勤時に皆に挨拶し、ミーティングをし、そこからの早退は欠勤より目立つ。
無言で帰るわけにもいかず、皆に「息子が発熱したため早退させていただきます。ほんっとうに申し訳○×△※ ○×△」
と言って腰を折ったまま退散する。


辛い。心苦しい。
社長も理解がある人で、
「子供はそうやって免疫つけてくんだもんな」
と言ってくださるが、この先これが続いたら言うことがなくなるだろう。

私だってもう謝罪の言葉が見当たらない。
今は「度々申し訳ありません」

次回は「度々度々申し訳ありません」


早退。

また早退。

この勢いじゃ私は2018年ベスト・ソータイスト受賞間違いなしだ。

なんなら2019年を待たずにさっさと殿堂入りさせてくれ。

私が珍しく終業時刻近くまでいると、

「あれ、今日は◯◯さん早退してないんすか?」


サウイフモノニ
ワタシハナリタイ



しかしいつも腑に落ちないのが保育園を早退させられた息子が38度5分の熱があっても元気いっぱい暴れ回ること。

保育園の体温計が壊れているんじゃないかと疑いたくなるが、なるほど、頭を触ると確かに熱いのだ。


それが一昨日は連絡を受け保育園に息子を迎えに行くと、いつもと違ってぐったりしている息子がいた。
顔は真っ赤で目は虚ろ。
それでも促されずとも保育士さんたちに自らバイバイをする一歳の息子。

悲しいかな、誰も見ていない。



いつもの発熱と違う様子に心配になり、その足で小児科を受診すると、しっかり「溶連菌」という菌をもらっていた。

抗生物質を飲ませると一晩で熱は下がり元気になった。



この調子なら月曜日は保育園に行けそうだ。
私も仕事に行けそうだ。


ベスト・ソータイストへの道のりは険しい。



【バイリンガル子育て】なかなか攻めてるフランス語の絵本

私がハーフの子供を連れているとよく聞かれることがある。
それは「家では何語で話しているのか」ということ。

国際家族の言語事情

私:母国語は日本語。子供たちに日本語で話し、主人にはブロークンなフランス語で話す。

主人:母国語はフランス語。子供たちにも私にもフランス語で話す。日本語も結構話せると思っていたが、先日「やたら」の意味を聞かれて知らなかったことに驚いた。

長男:母国語は日本語とフランス語のバイリンガル。私には日本語で、主人にはフランス語で話すが、最近はフランス語の文章に日本語の単語が混ざることが多い。

次男:「おーじょ(どうぞ、どうも)」と「あっち(熱い、おいしい)」と「うっ(それ)」のほぼ3単語のみを駆使してこの世知辛い世を生き抜く。


ここで浮き彫りになる問題点は、子供たちのフランス語力が伸び悩んでいることである。

長男は3歳になる前までスイスのフランス語圏で生まれ育ったため、日本に越してくるまでは私が日本語で話してもほぼフランス語で受け答えしていた。それが日本に住み始めてからメキメキと日本語会話が上達し始め、日本生活丸1年が経とうとしている今では日本語のほうが流暢。主人にはフランス語で話し続けているが、語彙が増えていないのがちょっと心配なところ。

一方の次男は、まだ1歳なのであまり意味のある単語は出てこないものの、それでも出てくる単語はすべて日本語よりだ。ある日、仕事を終え保育園にお迎えに行くと、保育士さんが興奮気味にその日の出来事を伝えてくれた。「今日のお昼ご飯は『うどん』だったんですけど、○○(次男)くん、すごい勢いで食べ終わって、そのあと他の子が食べているうどんを指差しながら「うっ、うっ」って言ってたんですよ!もう『うどん』が分かるんですねぇ!」
「えと、何を差しても「うっ」なんです」なんて答えて場をしらけさせるのは心が痛むので、「そうでしたか、うどん大好きなんです~うふふ」と答えた。

それはさておき、多言語国家のスイスにはバイリンガルやトリリンガルの子供たちがたくさんいるが、やはり母国語が1か国語だけの子供に比べて話し始めるのが遅いという話をよく耳にする。次男は長男と比べると格段にフランス語に触れる機会が少ないので、このままではフランス語を話すための口や耳が育たないかもしれない。まだ間に合うか。

とにかく早めに手を打たなければ。

国際郵便で書籍を送る

主人に子供たちのフランス語に関して心配していることを伝えると、彼も同じように感じていたとのことだった。語彙を増やすためには本を読むのが一番効果的だろうということで意見が合致し、早速アマゾンでフランス語の本をまとめて十数冊購入し、送付先はフランスに住む義姉の家にして、彼女から日本の我が家まで転送してもらうことにした。

ちなみに日本から海外へ印刷物のみを送る場合、通常の国際郵便よりも安く送れる便利なサービスがある。
特別郵袋印刷物 - 日本郵便

そしてフランスから海外へ送る場合はこちら。(スイスではこのサービスがなく印刷物だろうが値段は変わらなかった。)
Livres et brochures – Entreprise – La Poste


あいつが家にやってきた

フランス語の本のセレクションは主人に任せていたのだが、家に届いた荷物の封を開けると私もスイスの本屋で何度も目にしたことのある青い本が入っていた。

その名も『Caca boudin(カカ ブダン)』
「カカ」とは「うんこ」のことで、普段からよく耳にする単語である。(ちなみに「おしっこ」は「Pipi(ピピ)」)
では「ブダン」とは何のことか。食通の方なら知っているであろう、そう、豚の血でできたソーセージである。
Wikipediaではブーダンとなっている。
ブーダン (料理) - Wikipedia

レバーすらあまり好きではない私は好んで食べないが、主人は大好き。
これ、ご想像の通りただ見た目がカカっぽいということでセットになっている模様。
日本の年頃の子供たちが意味もなく「うんこー!!」と叫ぶように、フランス語圏の子供たちは「カカブダン!!」と叫ぶ。
スイスでは同義語で「カカブチ」という言葉もよく耳にした。これはスイス特有の言葉なのかフランスでも話されているのか知らないが、初めて聞いたときは日本語っぽい響きに感じた。

そして肝心の本の内容だが、ネタバレしない程度にざっくり言うと、何を言われても「カカブダン」と答える子ウサギの話である。もうこの表紙の顔からして小生意気な雰囲気なのに、この子に何言っても「うんこ!」と返事されたら非常にムカつくんじゃないかと予想されるし、そのやり取りで子供を喜ばすだけの本かと思わせときながらちゃんとストーリーもある、なかなか楽しい内容に仕上がっている。

そして、この本が何か国語にも翻訳されているのを見れはその人気っぷりは一目瞭然である。
ちなみに日本語にもしっかり翻訳されており、そのタイトルは『うんちっち』


最初はこんな本を読ませたら四六時中「カカブダン!」と言い出しすのではないかと心配していたが、長男はこの本を気に入ってはいるものの読んでいるとき以外に「カカブダン」と言ったことは今のところない。しかし新しい本のおかげでフランス語の語彙は格段に増えた。

そしてカカブダンとは言わないが、その代わりに近ごろ突然「いっせんまん‼」と言い出した。これは「一千万」、つまり「10,000,000」を意味しているのであろうが、我々はそんな数を口にしたことはここ最近ないし、もしかしたら私が寝言で「一千万円欲しい・・・」とか呟いたりしたのか。郷ひろみなら「億千万」だし、でも郷ひろみ聞いてないし、本当に謎だった。
そんなある日、長男を幼稚園に迎えに行くと、長男がまた「いっせんまん!」と叫んだ。そしてそこをたまたま通りかかった担任の先生が私に言った。
「最近しょっちゅう言ってるんですよ、一千万って。あともう一人、M君(クラスメイト)もよく言ってるんです。なんでしょうね」
これはいい情報を手に入れた。

帰ってから主人にその話をすると、「次にM君のお母さんに会ったらちょっと聞いてみてよ!」と喜んで言った。でも親しい仲でもないただのクラスメイトのお母さんに、「お宅の息子さん、よく「いっせんまん」って言うらしいですね?うちもなんですよー!なんでだかわかりますかー?」なんて言えるか!?言えないよ。
一千万って聞いたらお金のこととしか思えない私は異常なのだろうか。
だって
「今日ね、一千万匹のアリを見たよ」多すぎ。
「お母さん、人口が一千万人の都市ってどこ?」難解すぎ。
お金だとしたら大金だけど家の値段にしては安すぎるし、車かな。どんだけ高級車かよ。
もしかして、借・・・


イエナイヨ。

www.youtube.com

8年ぶりのディズニーランドで発見したミニーとスイス人の共通点

あっという間に前回の更新から1カ月が経とうとしていることに気付き、
部屋は散らかっているけどブログ更新を優先することにした。

夏休みも終わり子供たちの幼稚園と保育園も始まり、私も再就職までの短い時間を有意義に過ごそうと資格の勉強をしたり短期間のバイトをしたりしていた。
それに加えていつも家事育児を積極的にやってくれる旦那は出張続き。
ブログを書く時間が全く無かった訳ではない。しかし子供が寝静まった後あらためて散らかり放題のアパートを見渡すと、こんな状態でブログを書くわけにはいかないと気が滅入るのだった。


何度片づけても勢いよくひっくり返されるおもちゃ箱。

何度片づけてもあちこちで発見される不時着した紙飛行機。

そして雨続きだったせいでたまりにたまった洗濯物の山。
ごらん息子よ。まるでスイスのマッターホルンだよ。


立ち止まって現実を見るとあることを思い出した。
何を滅入っちゃってるんだ自分。もともとズボラでめんどくさがりで、それを誇りに35年も生きてきたじゃないか。
危うく真面目に主婦しそうになってた。旦那がいないことによりいつもは影を潜めている親としての責任感がひょっこり顔を出したのだろうか。
惑わされてはいけない。
家を片付けることよりも、忘れる前にこの夏のプレシャスな思い出をここに記すことを優先しなければ。


ディズニーランド事件簿

あまりにものどかなスイス生活によりその存在を忘れかけていた東京ディズニーランド。
なんと団体割引価格で行けるチャンスが到来した。
しかし今まで私と旦那はディズニーランドやディズニーシーに行くたびに喧嘩をしてきた。

10年前、スイス人の彼(現夫)とディズニーシーに行ったが、ディズニーリゾート初体験の彼はアトラクションのために長時間並ぶことが理解できなかったようで、こんなんにそんなに並ぶ意味が分からないと言われた私が文化の違いに泣いた。そして軽くキレた。(これだから田舎者は。ってスイス人のことバガにしったあだすもトーホグ人だっぺ。)

その後行ったパリのディズニーランドでは、電車で向かった際に降りる駅がわからず適当に切符を買ったら見事に間違えていて、結果、無銭乗車とみなされ罰金を払わされた。(このとき初めてフランスやスイスでは乗り越し精算システムがないことを知る。)
乗り越し精算すらさせてくれないフランスのシステムのイケてなさに立腹した私はディズニー入場前からプンプンしていた。(今となっては自業自得の極みだと過去の自分を恥じるが、当時フランス人に影響されていた私は怒れるチャンスを探してはプンプンしていた。)

こんな痛い思い出しかない私たちのディズニーランド。
旦那はもともとディズニーランドが好きなタイプでもないし、きっと行きたがらないんだろうなと聞いてみたところ、返事は意外にも
「行こうよ」
私が反対する理由はない。


雨のディズニーランド

団体割引料金で入場できる日程はあらかじめ決まっていた。
猛暑続きの8月。子連れということもあり、暑さや熱中症対策の心配ばかりして、現地で飲み物に散財してたまるものかとペットボトルに入れた麦茶を冷凍庫にこれでもかと放り込んでいたのに、当日は雨。気温も低めだった。
涼しかったけど、この日のために用意した麦茶だから意地でも持って行った。

ディズニー大好きな友人と現地で待ち合わせし、もう我々のプランは彼女についていくのみ。

彼女はネットでショーの抽選に応募してくれたりピザ食べたいといえばピザ屋に連れて行ってくれた。
ピザと一緒に家から持ってきた麦茶を飲もうかとバッグから取り出したがまだ半分以上凍ったままだった。
子供には足りるけど私の分は無いなと思ったので、ピザと一緒に私の分のスプライトだけ抜け駆けして買ったら、席に着いた瞬間にテンション上がってはしゃぐ長男がスプライトをぶちまけた。

ディズニーランドでは子供をないがしろにすると罰が当たるようだ。


雨のパレード

ディズニーランドでは、一日に何度かパレードが開催されているが、雨の日は雨の日用のパレードに変更になるようだった。
巨大な山車に乗ったミッキーその他のキャラクターたちがものすごいテンションで踊ったり手を振ってくれるのだ。
これには子供も大喜び。
キャラクターの周りでは、人間様のダンサーたちもパレードを盛り上げる。
しかしちょっと気になったのが、キャラクターもダンサーも手にホースのようなものを持っており、そこからすごい勢いで放水されていることだった。
確かに雨は降っている。私たちもレインコートやポンチョなどを着て濡れないようにはしているのだ。
でも、こちらに向かって容赦なく放水してくるニコニコのお姉さんダンサーズに手放しで喜べない自分がいた。
ちょっと目を背けて【こっちは間に合ってますオーラ】を出そうとしている自分に気づいた。これはマズかったと反省した。
相手は演者、私は観客。
観客が演者に忖度を求めてはいけないんだ。


ミニーの家

トゥーンタウンに行ってみた。ここは小さな子供向けのアトラクションが多め。
旦那と長男が車系アトラクションに行き、私は友人と次男とミニーマウスの家に行った。
ミニーマウスといえば、ミッキーマウスの恋人である。
家に入ると、目に入ってくるのは可愛らしい家具、そしてなんとミニーのTO DOリストまである。
気になったのは、『ミッキーのおべんとうをつくる』という項目。
ふむふむ。ミニーも男に尽くす系の女なのか。私とはタイプ違うな。
いや、リストには書くけどやらない人パターンもあるか。でもネズミってマメそうだよな。

そんなことを考えながら奥の部屋に進むと可愛らしいドレッサー。
そしてそこで写真を撮ろうと列を成す女子たち。待ってる人たちに遠慮なしに、口を尖がらせて結構な枚数を取り直してるお一人様もいる。彼女のハートの強さ分けてほしい。

さらに奥へ行くとそこはキッチン。
大きな冷蔵庫があったので無造作に開けてみると、そこにはアレが。



ご覧あれ、このスイス人やフランス人もびっくりのチーズのセレクション
旦那がもしここに居合わせたら目がくらんで倒れてしまったかもしれない。
よく見るとアイスクリームまでチョコチップならぬ"チーズチップ"入りではないか。

ミニーマウスはやっぱりネズミなんだ。マウスって言ってるし。
ムーミンはカバじゃないけど、ミッキーもミニーもネズミだ。
ちょっと気になってWikipediaを見てみたら、ミッキーマウスの愛読書に『チーズと平和』とあった。
ミッキーマウス - Wikipedia

もしこの本が実在するなら著者はおそらくスイス人だろう。
そしてミニーがミッキーに作るお弁当の想像がついた。それはかわいい顔のついたキャラ弁などではなく、パンとチーズ。これに違いない。
それなら毎日でも気軽に弁当作りを続けられる。
ミニーのアイディアを頂戴したいところだが、日本の現実世界で毎日これをやってしまうと破産する。
ヨーロッパのチーズが安く買える社会が訪れる日は来るのだろうか。

初めての子連れディズニーを振り返る

行く前は、次男が小さい(1歳3か月)ので乗れるアトラクションもだいぶ限られるだろうし、汽車と船くらいなら乗れるかと予想していたが、思いのほかたくさん乗れた。
リニューアルされたというイッツアスモールワールドを皮切りに、ジャングルクルーズ、カリブの海賊、ホーンテッドマンション、プーさんのハニーハントまで乗れた。もちろん汽車と船も乗った。結局朝の開園から閉園近くまでどっぷり楽しんだ。


最後に、今回のディズニーランドで個人的に印象に残ったことは、ディズニーランドにいるとやたらお腹が空くということだった。
レストランは高めだし混んでいそうだったので、ピザやラップサンドのような軽食を食いつないでいたが、食べても食べてもすぐにお腹が空いた。「あれ、本当に私たちさっき食べたよね?」ていうくらいすぐに減る。コンセプトが『夢と魔法の王国』らしいから、食べ物にも何かしらの魔法がかけられてるのかもしれない。
最終的にトゥーンタウンでフライドポテトをお代わりして食べたらちょっと落ち着いた。ポテトは普通のポテトらしかった。
夜もレストランでしっかり食べたが物足りなかった。

ミッキーの好物である乳脂肪分の多いチーズでも売ってくれたら腹にたまりそうなのにと不満を漏らさずにはいられなかった。

全体的な感想を言えば、ここでは普段の生活ではできない体験ができるので、たまに行くと脳への刺激になっていいと感じた。

来年も団体割引で行けるなら、凍った麦茶がほどよく溶けるくらい暑くて、ダンサーのお姉さんたちが放水ホースを持っていない日になるといいな。

もしまた雨ならゴーグルを持っていって顔いっぱいパレードの水を浴びてやろうじゃないか。