アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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スイスで出産②  〜自然分娩編〜

 2人目を妊娠した。


長男は無痛分娩で時間も分娩室に入って5時間程度でそれほど長くなかったので、2人目も同じ病院でまた無痛分娩で産むのに迷いは無かった。

スイスで出産① ~無痛分娩編~ - アルプスから高尾山


がしかしタイトル通りに結果的に自然分娩になった。
理由は麻酔が間に合わなかったから。

 

 

※以下、自然分娩だけに直接的な表現が含まれますので苦手な方はご注意下さい。


2人目は1人目よりラクだよ〜。お産がどんどん進んであっという間に生まれちゃうよ〜。なんて言って喜ばせてくれる人たちはたくさんいたが、鵜呑みにしてはいけないと思いつつ、そうかなぁ〜とちょっと期待している自分もいた。


なんといっても流れが分かっているので初産に比べたら不安材料はかなり少ない。

余裕ぶっこいていたとは言わないが、いつでもいらっしゃいとは思っていた。

 

そして2人目もまた深夜の破水?から始まる。

?付きなのは水漏れの如く少量で初めは破水かどうか定かではなかったから。

きっと高位破水というやつだったのだろう。

1人目のときはバッシャーンジャボジャボー!腹の中にあった水風船破れましたー!という感じだった。


破水かなぁ、違うかなぁととりあえず旦那を起こして様子を見ていると、なんとなく陣痛らしきものが始まったので病院に電話しまたもやタクシーで向かった。
ここまでは破水の降水量以外は前回とほぼ同じシナリオで進んでいた。

 

よしよし、精神的にも落ち着いているし良い感じだ。

 

深夜の病院散歩 


長男を旦那の両親に預かってもらい、病院に着いたのが午前3時半。

診察を受けると、すでに陣痛が等間隔になっていて子宮口もほんの少し開いているとのこと。


よっしゃーこれはすんなり行きそうな予感!


陣痛の痛みが前回の出産の思い出を蘇らせる。ああ確かにこんな感じの痛みだったねぇ。←まだ余裕あり。
美人助産師から子宮口がもう少し開いて陣痛が強くなるまでちょっと病院の廊下を歩くよう指示を受ける。


「6時くらいまで歩いてみましょう。でもそれ以前でも生まれそうなほど陣痛が強くなったら遠慮なく分娩室のドアをノックしてちょうだい。」と言い残し笑顔で去って行った。

 

午後4時半頃だったか、深夜の病院を旦那と世間話しながらの散歩スタート。

やはり長男の出産に関しての話題が多かったかな。

前回、分娩室の隅っこでどら焼きを頬張っていたモジモジ旦那はもうそこにはいなかった。

さすが一度全てを目に収めた男。

立会い済み夫。

彼もかなりリラックスしていて爽やかに私を激励してくれた。

 


そして、陣痛の間隔はみるみるうちに短くなり、陣痛のたびに立ち止まらなければいけないほどの痛みに襲われる。

時刻はまだ5時45分。

もうだいぶ痛い。

叫ぶほどではないが声が出そう。

ちょっと予定より早いが分娩室へ行ってみた。

痛たたたたた。

 

麻酔っ!麻酔っ!

笑顔で迎えてくれた分娩室担当の助産師たち。

男女各1名。

男性の方が板に付いた営業スマイルで尋ねる。


「マダム、何をお望みですか?湯船に浸かりたいですか?それともマ…」


「麻酔で、麻酔お願いします‼︎」


もう食い気味で懇願した。

だって痛いんですもの。

どんどん理性を失うような、コントロール不能な状態になっていく自分に気づく。

 

 

 

黄色い声

3分後。


キャーーーと叫び声をあげていた。

THE 絶叫。

THE キャーーー。

声だけなら絶叫マシーンに乗った女子高生、あるいはファンが好きなアイドルに浴びせる声と相違なかったに違いない。

すごく声がよく出て変な話ちょっと気持ちよかった覚えがある。
絵面はもちろんホラー。

ベッドでエクソシスト。

ねじれていた。

 

その後の何分間かは分娩台の上でのたうち回りながら黄色い声を出しつつ麻酔師を待った。

もう待ってるとかいう意識もないが。

誤解を恐れずに言えば、もんのすごい下痢してるのに何も出ない〜!それの100倍強いやつ。


そして荒れ狂うエクソシスト女を物ともせず子宮口をチェックする職人助産師。
後から旦那に聞いた話によると、このタイミングで麻酔師が参上したが門前払いされたそう。

理由はもう子宮口が開いていて助産師は赤ちゃんの頭に触れられたから。

 

つまりステージに上がって30分足らずでクライマックスが始まったってことらしい。

麻酔のタイミングは呆気なく逃した。

 

 

 感動のフィナーレ

「マダム、麻酔は残念ながら間に合いませんでした。でももうすぐに産まれます。叫ぶ代わりに息んでください!赤ちゃんが出る瞬間は股が焼けるような感じがしますがすぐに終わります!」

 

 

素直な私は言われた通りに息んだ。

そして3回目に息んだときにドゥルーンっと何か出た。

それが私の胸元に乗せられた。

 

紫色の我が子だった。

ちなみに無痛分娩ではこの“ドゥルーン”の感覚は皆無だった。

 

 

 

以前は「3回息んだら生まれたのよ」という人がいたら話盛ってるに違いないと思ってました。

すいません。

 

 

 

 

助産師たちも私があっという間に産んだお陰で仕事が少なくラッキーと思ったに違いないと助産師たちに対し謎の上から目線になるほど速かった。

彼らにブラボーブラボーとやたら言われた。

そのうちに紫色だった我が子もだんだん赤くなり、赤ちゃんになった。

 

陣痛は無痛分娩とは比べ物にならないほど痛かったが、本当にあっという間だったのであまり疲れもなく嬉しかった。


ところがこの後ちょっと予想外の展開に。

会陰がちょっと切れたので縫合する必要があるので医者を待つように助産師に言われ待った。

待てど暮らせど医者は来ず、分娩のポジションのまま、つまりお股全開のままなんと2時間も待たされた。

その上その間に朝食を出されオイ待てコラと思いつつ空腹に負けてその体勢で食べた。

 

無痛 VS 普通

次回があるかはわからないが、私はもう一度産めと言われたら、今回のようなスピードで進むのであれば自然分娩を選ぶだろう。

激痛だけど一瞬VS痛さ程々だけど長め。

 

出産は何が起きるかわからないので何人目だろうと長い激痛に耐えることになる可能性もある。

そしてそれを経験した女性は世の中にたくさんいるらしい。

私の友人でほぼ3日間の陣痛に耐えた末に帝王切開で出産した人がいる。

まじリスペクト。

 

 

私の場合へその緒を通して“母親はヘタレ”っていう情報が胎児に流れてたに違いない。

 

だから自分の身は自分で守らねばと頑張って急いで出てきてくれたのだと信じている。