アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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帰ったら気づいた ここが良かったスイスの子育て事情

日本に帰国することが決まり、さぞかし嬉しいだろうと周りの友人たちに言われた。

家族の近くに居られることと、美味しい日本食が食べられることはとても嬉しかったが、不安もあった。
それは子育てに関することだった。


スイスで妊娠し出産した私は日本での子育て経験がない。
そして我々の移住先はボーダーには近いが東京都内。
子連れで一時帰国したときは電車に乗るたびに非常に緊張したのを思い出す。
お腹に抱っこしている我が子の足がうっかり隣に座っている人を蹴らないように、私の汗ばんだ手でがっちりとその小さな足を握りしめて私の身体に密着させて座った。



こんなに緊張し怖がっていたのはネットの情報のせいだった。
東京でベビーカーを押しているとどのような扱いを受けるのか、ベビーカーを折りたたまずに電車に乗るのはアリなのかなど帰る前にいろいろ調べたが、目につくのはネガティヴな情報ばかり。
でも元々ネットで調べようと思った理由は日本の社会は子連れに冷たい印象があるからなので驚きはしなかったが、やはりそうかと改めてガッカリ。


だが実際に子連れで電車に何度か乗ると席を譲ってくれる人が多く、それには驚いたのと同時に、人々の思いやりの心に触れてとても嬉しかった。



ヨーロッパは子育てに良さそうなイメージを持つ人が多いが、子育て支援が充実している北欧のイメージからの影響だろうか。
スイスも北欧には敵わないものの、実際にスイスと日本でどちらが子育てしやすいと感じたかと聞かれたら私はスイスと答える。
それぞれに良さはあるのでこれは好みの問題だと思うが。





スイスの子育てここが良かったベスト3

①子連れの親が威張っている


スイスではベビーカーは大き目サイズが主流。
タイヤも大きめ。
東京に比べたら混んでいないとはいえ、そこそこの混み具合の通勤時間だろうがその大型車でバスにもメトロにもガンガン乗る。

バスに乗る際に「ベビーカーは優先でーす!」とぎょっとするほど大声で叫ぶ母親を見たことがある。
周囲の人は彼女を見て何を思うか知らないが、文句も言わずにささーっとはける。

そして私は一度ベビーカーがらみでバスの運転手に怒られたことがある。
バス内でベビーカーを置く場所は安全を考慮して指定されているのだが、そのときは混んでいる時間帯でそこにはすでに2台のベビーカーがあった。
本来なら正しく詰めて置けば3台停められるが、周りに人も多くすんなり3台目の停車位置までたどり着けそうもなかったので、仕方なく入り口付近にいた。
するとそれに気づいた運転手が私に向かって叫んだ。

「そこにベビーカー置いてるお母さん!あなたは周りの人にどけって言う権利があるんだからそんなところに突っ立ってないで奥まで行きなさい!
守るべきものは子供たち!
大人は面倒はみれませんので勝手にやんなさい」

周りの大人たちは笑いながらこれまたささーっと場所を空けてくれた。

東京ではこのような場面に遭遇することは今のところなさそうだ。
ベビーカーは混んでいる時間帯は遠慮しなければいけない立場なのだから。

人口密度が高いとはいえ、子連れで外出するには時間帯を選ばなければいけないのは時々悲しい。
そして電車で出かけるたびに100回ぐらい「すいません」を言うのだ。



②字を書く機会が少ない


てか日本が多すぎてビックリ。
児童館では入館の際にリストに子供全員、下手したら親の名前も書くことを求められる。
そして小児科では当然ながら問診票を書き、驚いたのはワクチン摂取のたびに1つのワクチンにつき一枚、質問がびっしり書かれたアンケートを記入しなければならないこと。
そして一枚ずつに氏名、住所、電話番号と、重複した情報を書かなければならない。
今度は一時保育。
これも預けるたびに氏名、住所、電話番号。
さらに緊急連絡先まで。
そんな預けるたびに変わらないっちゅうねん。

これは国を出なければなんとも思わなかったことかもしれない。
面倒だなと思うのは、スイスでは外出先でペンを握って何かを書く機会が非常に少ないと思う。
今思い出そうとしてもサインをするとき以外には何も浮かばない。
小児科でも子供の名前を言えば済むし、熱も看護師が測るし、日本に比べるととてもラクチン。


③親の自己犠牲はほどほど


日本でも最近は母親に関する歌がバッシングを受けたりしているので変わりつつはあると思うが、それでもやはり母親はこうあるべきという世間体を気にしている母親が多いのではなかろうか。
何となく自分のための楽しみを我慢しなければならないような気がしたり。

スイスで周りにいた同年代の親たちを見ると、子供を預けて夫婦で食事に行ったり子供を連れてフェスティバルやコンサートなどのイベントに行ったり、親たちも子供ができたからといって自分たちのやりたいことを過剰に我慢していない印象を受けた。

小さい子供は遠慮なく預けて海外旅行に行ったり、ちょっと驚いたのは生後2カ月になったばかりの赤ちゃんがキャンプに参加していたり。

イヤがる子供を無理矢理連れ出すべきではないが、心配し過ぎて何もできずにストレスを溜めるのも考えものではなかろうか。

と、出かけるのが大好きな私は自分に都合の良いように考える。