アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

MENU

我が家でも事件は起きる

旦那の両親がやってきた。


f:id:heidima:20180401234003j:plain
※イメージです


我々の住む決して広くはないアパートに2週間泊まることに。
来る前から何かしらあるだろうと思っていたが、早速ちょっと面倒なことがあった。

義母の天然ぶりを垣間見るにはぜひ下記のブログをご参照いただきたい。
alpestakao.hatenablog.com

彼女は自称『元・完璧主義者』で、身の回りは綺麗にしていないと気が済まない性格だったが最近は完璧主義は疲れるのでほどほどにすることにしたらしい。
しかし今でも人の家に泊まるとなると台所やらお風呂場やら何かと掃除をしたがる。

スイスで私たちの家に来るときも同じだった。
私は自分がズボラで適当なので彼女に掃除をされると「あなたもこのくらいやりなさい」と言われているような気がして非常に嫌だった。

今思い返すと卑屈な考え方だったなとも思うが、大人げない言い方をすれば本当にマジで死ぬほど嫌だった。
自分でもなぜだか解せないが、相手が姑というポジションであるだけで、嫌なことをされると同じことを友達にされるのの100倍くらいムカついた。

これは単に旦那をめぐっての嫉妬という感情だったのだろうか。
あるいは彼女はおっちょこちょいで子供のお尻に塗るクリームを顔に塗ったりする人なのに、時折デキる主婦のように振る舞うのに腹が立ったのかもしれない。
彼女のおっちょこちょいネタは山ほどあるが一度に出すと悪口ブログのようになるので、偽善者の私はチョロ出しでいくことにしよう。


そんなふうに姑に対して謎にビリビリ敵対視していた時期も過ぎ、今では彼女に慣れたのか自分が年取って疲れたのかとにかく以前のイライラはなくなってきた。


そして数年前までは素直に認められなかったが、普段の義母は笑顔も性格もとてもチャーミング。
私の友達に会わせれば皆べた褒めする。
「すてきなお義母さんね。とっても優しいね。」

そう、彼女とってもいい人なのだ。
きっとうちの掃除をするのもただ純粋に私を手伝おうと思ってやっているのだと思う。
でもお節介。
いい人でもお節介が過ぎると一緒にいて疲れてしまう。


そして今夜の夕飯後に事件は起こった。
食べ終わったあとに義母は台所の後片付けをすると言ってくれたが、私は自分でするから結構ですと断った。
もともと台所仕事は嫌いではないので苦にならない。
むしろ彼女は『元』は付くが完璧主義者なのに洗い物が得意ではない。
スイスにいたころも彼女が洗った食器には汚れが残っていて次に使うときに洗い直さなければならなかった。
それもあって私は食器を自分で洗い、水切りラックに置いておいた。
(我が家には食器が少ないし私は面倒くさがり屋なので、洗ったものを毎回すべて棚にしまわずに置いたまま乾かして翌日の朝そこからとって使用する。)


洗い物を終え子供を寝かせる準備をしていると、台所からカチャカチャと食器のぶつかる音がした。
見にいくと義母が私の洗った食器をすべて拭いて棚にしまおうとしていた。



数年前までの自分なら、ここで彼女に「私やるんで大丈夫ですよ~」とか作り笑顔で言って、彼女が寝静まったころに旦那にこう言っていただろう。

「お義母さんに、私が片付けるって言ってたのに何で彼女やっちゃってたの?お母さんが洗い物するとキレイになってないからイヤだって言ってんじゃん!ちゃんとあなたからやらないでって言ってよね!」



自分で文章書いててもつくづくイヤな嫁だったなと思う。
今もこんなことブログに書いてるんだからイヤな嫁には変わりないが。


しかし今の私はもう自分で彼女に言いたいことを言うようになった。

「お義母さん、食器拭かなくてもいいですよ。私はいつも置いたまま自然乾燥させる方が好きなんで。朝もどっちみち同じ食器を使うのでしまわなくても大丈夫なんです。」

そしてここで引き下がらないで頑張るのがお節介お義母さん。

「私はただあなたのことを助けたくてやっているだけなのよ。子供のこともやらなければいけないし大変でしょう。
私はここに泊まっているから何かやらなくてはという義務感でやっているわけではなく助けたいだけなの。」



「お気持ちは大変ありがたいんですが、棚にしまおうとしている食器はまだ水滴が残った状態です。
これはそのまましまったらきっと細菌が繁殖して臭くなりますよね。」


とは流石に言えないが、


「お気持ちはありがたいですが、お義母さんに、私がやる必要がないと思っていることをやってほしくないのです。あなたの思いやりの気持ちは伝わっています。ありがとうございます。」


と言ってみた。

私も言いたいことを伝えられてすっきりしたし、彼女もそれなら納得したと笑顔を見せてくれた。

ちょっとだけはっきり言いすぎたか心配になったので隣でニヤニヤしながら我々のやりとりを聞いていた旦那に確認したら「大丈夫だよ。言いたいこと言って言って~」と言われた。




スイス人と付き合い始めてから学んだこと。
それは少なくとも彼らには、日本でよくある『人の気持ちを汲んで』っていうのは通用しないし、そんなこと思っている時間が無駄だということ。
そしていらない喧嘩を招くだけ。
それは恋人だけでなく家族や友達に対しても。


なんで私の気持ちわかってくれないの。

言わなくてもそんなことくらいわかるでしょ。


いや、人って本当に言わないとわかんないらしい。

しばらくはいつかは分かり合えるなんて儚い期待を捨てきれずにいたけれど、そのころは辛かったな。


ようやく関係がマシになってきたお義母さんは今夜、私の作った味噌汁を美味しい美味しいと言っておかわりまでしてくれた。
そしてスイスに戻ったら自分でももっと作ってみようと言った。

私が引っ越しのときにスイスの両親の家に残してきた味噌で作ればいいじゃないかと言うと、お義父さんが家に出汁の素がないなぁと言った。

ミゾスープの一件で出汁のことを覚えてくれてると喜んだのも束の間、私はその後のお義母さんの発言を聞き逃さなかった。



「ダシ?なにそれ?」





お義母さんとの距離を縮めるにはもうちょっと時間がかかりそうな気がした夜だった。