アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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フランス人のラーメンに対する姿勢① ワーホリのおもひで

今日はフランス人の友人が美味しいフランスパンを持って遊びに来てくれた。
フランス人は食に対するこだわりが強い人が多いが、東京に住むフランス人の友人達は皆、東京の美味しいパン屋を知っている。

そんなことから私がフランスにいたときのことを思い出した。

私は数年前にワーキングホリデービザで1年間パリに滞在していた。
前もって貯めた滞在資金がそんなに多くなかった私にとって、”ワーキング”は必須だった。
そしてフランスに上陸する前の乗り換えで降り立ったコペンハーゲン空港で、偶然にもフランスのワーホリを終えて日本へ帰国する途中だという日本人女性に出会う。
彼女にこれからパリで仕事を探すつもりである旨を伝えると、彼女が働いていたというオペラ座の近くのラーメン屋を紹介してくれた。


出発前に就職活動をしてみたものの、ワーホリのビザでは職種も限られる上に、何よりその時点での私のフランス語レベルは初心者に毛が生えた程度。
就職先として花形である旅行会社のまともな人事の方々はそんなヤツを雇うワケが無かった。
身の程を知り、職種に強いこだわりもなかった私はすぐさま紹介してもらったラーメン屋へ行った。
履歴書を持っていくとありがたいことにすんなり採用された。


そこでの日々は、毎日がカルチャーショックの連続だった。
外国人たちと働くことにもすさまじい刺激を受けたがそれはまた別の機会にするとして、今回はフランス人のラーメンに対する姿勢が日本人である私の想像をはるかに越えてきたのでそれをご紹介したい。


以前、日本人のチーズフォンデュの食べ方が本場のそれとは違うことをお伝えしたことがある。
チーズフォンデュは臭いのよ 〜私の初チーズフォンデュ物語〜 - アルプスから高尾山

日本では今や世界各国の料理が楽しめるようになったが、その中にはやはり日本人の好みに合わせてアレンジされているものが多いだろうし、そうなることは自然なことだと思う。
そして食べ方も変化したりする。
例えばイタリアをはじめヨーロッパではレストランでピザを食べるときナイフとフォークを使って食べるが、日本では手で食べる人もいる等。

私の働いていた店は経営者が日本人だったので味は日本で食べるものに近かったが、フランス人客たちは相手が日本食だろうがフランス人の食べ方を貫こうとしていた。
今ではパリに日本食レストランがどんどん増えてこのような光景は見られなくなっているのかもしれない。

ラーメンだろうがお供はワイン

私が働いていた店はワインは提供しておらず、アルコール類は日本の銘柄のビールと日本酒のみだった。
しかし店に初めて来る客、特に若い女性に多かった覚えがあるが、メニューも見ずに「まずロゼをください」という人が非常に多かった。
『ロゼ』とはつまりロゼワインのことで、スイスでは私のまわりではそんなに飲まれていなかったが、フランスではよく食事と一緒に飲まれているようだった。
ロゼワイン - Wikipedia
一度、大柄の中年男性二人組にワインを注文され、無いと伝えると「じゃあ何を頼めっていうんだよぉ?」と怒号を浴びせられて震えあがったことがあった。
たまたま隣の席に20代くらいのフランス人女性が座っており、日本ではフランスほどワインを飲まないことを私に代わって彼らに説明し、なだめてくれた。
ガラの悪いオヤジにも怯まない女性。
パリに住むと人は強くなるとかスイスからパリに引っ越して10年以上たつ義理の姉が言ってたな。


ナイフとフォークください。箸はもらっていってもいいですか?

これはそのまんま、ラーメンだろうが箸が苦手でナイフとフォークで食べる人が結構いる。
そして中にはレンゲが添えてあるのにも関わらずスプーンまで頼む人もいる。
あとは箸を一本ずつ左右の手に持ちナイフとフォークであるかのように器用に使って食べる強者もいた。
なんかこう、『いーとーまきまき』みたいな動作で箸に麺を巻きつけて口に運ぶ。
もう仕事ほったらかして観察していたい。

と、ここまでは良いのだが続きが問題。
この店では箸は使い捨ての割り箸ではなく繰り返し利用できる普通の箸を使用していたのだが、なぜか時々持ち帰りたがる客がいて、「箸はもちろん持ち帰っていいのよね?」という雰囲気で質問してくる。
確かにそんなに高級そうなものではなかったが、毎度あげていたら無くなってしまうので丁重にお断りする。
そしてもっと驚いたのは許可も得ずに長い髪の毛をぐるっと団子にして箸をかんざしの如く刺してしまっていた女性がいたこと。しかも見かけたのは一度や二度ではない。
ラーメン食べるのに髪が邪魔だと思ったら、いいところにこんなものがあるじゃない!という流れなのだろうか。
これには声をかける気も失せてしまった。



このようにパリには自由な人が多そうな印象でここの客も例外ではない模様。


興味深いことがまだまだあったので次回へ続く。