アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

MENU

フランス人のラーメンに対する姿勢② ラーメンの概念を覆してくるフランス人

今日は先日に引き続きパリのラーメン屋で働いていたときに見たフランス人のラーメンとの関わり方についてご紹介したい。

フランス人のラーメンに対する姿勢① ワーホリのおもひで - アルプスから高尾山




相手がラーメンだろうが話が優先

フランス人は食事をしながら会話を楽しむ。
会話に夢中になり過ぎて食事がなかなか進まないこともしばしば。
ラーメンを前にしてこうなってしまうとどうなるか。麺はスープを吸ってどんどん伸びてゆく。

でもそんなことは気にしない。
ラーメンを前に繰り広げられるパリの日常。

ケラケラ笑いながら話をするかわいいパリジェンヌたち。
真面目な顔して政治について熱く語り合う男たち。
極めつけは2人の間に言葉なんていらない手をとり見つめ合う恋人同士 in front of ラーメン。

夜景の見えるレストランではなく、激混みの賑やかなラーメン屋でなぜここまで2人だけの世界を創り上げることができるのか、ぜひともコツを教えてほしいものである。
その集中力、きっと何かの役に立つ。


ラーメンはまず鑑賞する

あるとき客のテーブルに注文されたラーメンを持っていき、数分後に同じテーブルのとなりを通ると全く箸がつけられていない状態のラーメンがそこにあった。
麺が伸びてうどんのように太くなっている。
そのどんぶりの前に座るのは中年の男性。
きっと頼んでみたはいいが想像していたものと違うので食べたくないと思っているのだろう。
彼の座るテーブルの家族らしき同席者たちは美味しそうにラーメンを食べているのに彼だけが手をつけていない。

彼以外は食事を終えた様子だったので、私は食べ終わったどんぶりを下げてもよいか聞いて片付け、迷ったが手をつけていない彼にも聞いてみた。
「お済みでしたらお下げしましょうか」
すると彼は私を訝しげに見て答えた。
「いいえ、食べます」

そして本当に彼は伸びたラーメンを食べ始めた。
その途端、他の人のどんぶりを下げてしまったことを猛烈に後悔した。
許可を取ったとはいえ、食事が終わっていない人がいるテーブルの食器を下げるなんてとんだ無礼を働いてしまった。

しかし彼はなぜラーメンを食べ始める前にそんなに待ったのだろうか。
伸びたラーメンが好き。
いや、違う。きっと極度の猫舌なのだ。

フランス人は猫舌だという話はよく耳にする。
この男性は極端な例だが、よく見かけるのはラーメンを箸でつついているのになかなか口に運ばないという人。
もう食べるのに飽きた子供が食べ物で遊んでいるように見えるが、これも冷めるのを待っているようで、いじり倒した後に食べていたりする。


ラーメンとは麺が入ったスープである

多くのフランス人にとって、ラーメンとはスープであり、麺はあくまでもその中に入っている具に過ぎないと認識している人が多いように見受けられた。
その理由は麺を食べずに残す人がたくさんいたから。
日本人はどちらかといえば麺は全て食べるがスープを残す人の方が多い。
フランス人はスープは全て飲む。
そしてどんぶりに残っているのは伸びた麺、そしてチャーシューやメンマなどの具ということがよくあって、もったいないなぁと思っていた。
その証拠に日本人にとってはビックリ仰天な注文を受けることがよくある。

それはまさかの『ラーメン 麺抜き』

いや、だったらラーメン屋来なくていいでしょうと思っていたが、彼らの中にはラーメンの麺抜きと一緒にライスを頼む人もいた。
チャーシューなどの具は入っていることを考えると、豚汁とご飯を一緒に食べる感覚なのだろうか。

彼らは私の想像を超えてくる。