アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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5歳の少女の言動に自分を見る

子供たちを連れてゴールデンウィークで混み合うショッピングモールへ行った。
連休中の昼過ぎの時間帯は親子連れだらけ。

数人の子供たちが遊んでいるキッズスペースのとなりを通りかかると長男が「遊びたい!」と言うので、急ぎの用事も特になかった私は寄っていくことにした。

広くはないスペースに子供たちがぎりぎりぶつからないような距離を保ちながら遊んでいる。
そこに乗り物に乗って遊んでいる2人の少女たちがいて、長男が彼女達が使っている乗り物で遊びたいと言い出した。

「貸してくださいってお願いしてみたら?」

私が促すと、長男は大きな声で「おねがいします!」と言った。
少女のうちの1人が「なに?」と聞き返す。
私が「その乗り物に乗りたいんだって。遊び終わったら貸してくれるなか?」と聞いた。
すると彼女は「何歳?」と長男の年齢を聞いてきた。
「3さいです!」長男が答える。
彼女は「私は5歳」と言って、終わったら貸すからちょっと待ってと言った。

長男は他のおもちゃで遊び始めるが、やはりその乗り物が魅力的に見えるようで、その後も2回貸してほしいと伝えるが、彼女の返事は「私たちが帰るときに貸すからちょっと待って」。

なかなか帰る素振りも見せないので私も痺れを切らし、長男に「もう行こうよ」と言うが長男は「やだ!」の一点張り。
するとそれに気づいた乗り物で遊ぶもう一人の少女が言った。

「私たち夜まで帰らないから」

このひとことに立派な大人である私の感情は動いた。

「言ったね。じゃあ絶対に夜まで帰るなよ」

って言ったらどうなるのかなと思ったが、立派な大人である私はそれを言う代わりに、
「そっか、じゃあもう帰ろう!」と長男を説得しその場を離れた。

彼女は私の反応が薄いのが気に入らなかったのか、
「夜まで帰らないから」をその後もバグったかのように連呼していたが、それは聞こえないふりをしてその場を去った。


彼女は相手が3歳の男の子であろうが容赦せず、感情的にダメージを与える言葉を選んで言い放った。もし息子が彼女の言うことをまともに理解できたとしたら、絶望の淵に突き落とされたに違いない。
あるいはターゲットは隣にいた母親であるこの私の方で、私をぎゃふんと言わせることが目的だったのだろうか。
もし後者であったなら作戦は大成功である。

しかし5歳にして相手の感情を的確に揺さぶる術を身につけているとは目をみはるものがある。
スイスで仲良くしていた女友達が小学生の娘と女同士のえげつない喧嘩を繰り返していたことを思い出す。

あの大人気ないひとこと、「言ったね。じゃあ絶対に夜まで帰るなよ」が私の喉まで出かかった理由は2つ考えられる。

  1. 私が動物的な母性本能により攻撃された我が子を守るために反撃に出そうになったから
  2. 私の精神年齢は5歳の少女とおそろいで、売り言葉に買い言葉で喧嘩をふっかけようとしたから


どうも2つめの理由だった気がしてならない。
なぜなら、ほんのちょっと前の自分から出た言葉だが、

「夜まで帰らないから」をその後もバグったかのように連呼していたが

この表現に悪意がある。
5歳の子供に腹を立てているのが見え見えだ。

夫婦喧嘩をするときも、次第に元々の論点なんてどうでもよくなり相手を嫌な気持ちにさせる言葉をどんだけたくさん言うかっていう目的に変わっていることがよくある。
ちなみに旦那は私のこの変化に気づいて途中から応戦をやめる。
この冷静さにますます腹が立つ。


彼女は私。私は彼女。


いや、彼女はこんなおばちゃんと一緒にされたらたまったもんじゃないが、
とりあえず今日、私は5歳の少女と喧嘩できる大人だということがわかった。
すでに息子のイヤイヤ期にイライラさせられている。
今のところ息子はわざと私の神経を逆撫でするようなことは言ってこないが、口がもっと達者になればそれをしてくる可能性が十分にある。
子供の成長と共に私も本腰入れて精神的に成長しないと。
そんなこと可能なのだろうか。
でもできないとこうなる。

『見た目はオジサン、頭脳は子供』

そんなマンガは流行らない。

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