アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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ハンカチとティッシュの存在意義

息子の小さなズボンのポケットにはいつも何か入っている。
あるときは公園や高尾山で拾ったどんぐりや石を持ち歩いている。
ポケットが破れそうだから石はやめてほしいのだが、いつも私の顔を見ながらそっと入れる。

またあるときは家から持ち出したおもちゃ、あるときは夢とチューインガム、
そして最近はもっぱらハンカチとティッシュ。
幼稚園で毎日忘れずに持たせるよう言われているのだ。

だがこれ、今まで使われた形跡が一度たりともない。
綺麗に畳んで入れたハンカチは帰ってきたときも綺麗に畳まれたまま。
もし使っていたらちょっとはクシャッとしたり畳み方が変わっていてもよさそうだが、いつもそのまんま。
そしてキャラクターが印刷されている水に流せるポケットティッシュも全く減っておらず、ただ毎日同じものを入れるのでパッケージだけがシワくちゃになってきている。

先日、一度も使われていないティッシュは無残にもズボンのポケットに入れられたまま洗濯された。
責めるつもりは全く無いが、息子のズボンをポケットにティッシュを入れたまま洗濯機に放り込んでいたのは旦那である。
私はそれに気づかず、ポケットを全て確認せずに洗濯機を回してしまった。
悪いのは確認を怠った私。

ティッシュペーパーをうっかりポケットから出し忘れて衣類と共に洗濯機に入れて洗ってしまった経験がある人は多いのではなかろうか。
ティッシュが細かくなって服に貼りつき面倒な事態になる。



その日も私はいつもと同じように洗濯機から濡れた洗濯物を取り出した。
あれ、なんかモヤがかかっている。
東京もここまで西側になると寒いから部屋の中にも霧が発生するのか。
それとも眼鏡のレンズが汚れているのかな。

いや違った。

洗濯物が全体的に白っぽかった。
そして洗濯機の底から発見されたのは空になった水に流せるティッシュのパッケージ。
本当にキレイさっぱり溶けていた。
とりあえず洗濯物はそのまま干し、乾いてからコロコロ(粘着カーペットクリーナーが正式名称らしい)でモヤを取り除くのに30分弱を要した。

この白いティッシュのまとわりついた洗濯物を見たときの気持ちは独特。
自分がちゃんとチェックしていたらこんなことにはならなかったのに。
悪いのは自分なのに洗われただけでつまらない災難を招くポケットティッシュという存在に憤りを感じる。
そしてやはりチェックしていない自分に後悔。
行き場の無い悔しさに思わずため息が出る。



こんな事態は避けて生きていきたい。
そんなあなたにおすすめなのが欧米のポケットティッシュ。


これはスイスのスーパーマーケット、COOPで売っている一番安いポケットティッシュ。
もっと高いメーカーのものもあるが、この一番安いものでさえしっかり分厚いのでうっかり洗濯しても溶けてバラバラになりにくい。
例えるなら厚手のペーパーナプキンのような質感。
私の周りのフランス人やスイス人たちはこれで鼻をかみ、クシャクシャにして迷わずまたポケットにしまう。
再利用は当たり前。
ちょっと盛っているかもしれないが最低でも10回は使ってから捨てると言う友達もいる。

彼らは日本のティッシュに文句を言う。
ティッシュが薄すぎて鼻をかむ度に手が汚れると。
日本のものは使い捨てなのでそれはそれで清潔でいいとは思う。
欧米のそれは分厚すぎて、貧乏性な私は一度で捨てるのが惜しい。
そして使い慣れてしまうとその頼もしさから離れられなくなる。
例えば子供が何かこぼしてしまったときなどはこの厚さが嬉しい。

以前、引っ越して間もない我が家にスイスから遊びにきてくれた友達にポケットティッシュのお土産をお願いした。
日本に越してまでいつまでもこっちを使いつづける訳にいかないとは思いつつも名残惜しい。

一方、一緒に住むスイス人旦那は私よりもこのティッシュに対する依存はなさそうである。
その代わりに鼻はティッシュではなくハンカチでかむ。
私があまりいい顔をしないので今では私の前ではあまりしなくなったが、はじめて見たときは衝撃を受けた。
鼻をかみ終わったハンカチはポケットに戻し、また繰り返し使う。
(最近は欧米でもハンカチで鼻をかむ人口は減少傾向にあるらしい。旦那調べ)

彼は逆に日本人がみんなハンカチを持ち歩き、手を洗った後にハンカチで手を拭くことに感心していた。

ハンカチは”ハンドのカチーフ”なわけで、やはり手を拭くのが正解なのではと思ってしまう。

しかしそんなことより問題なのが、鼻水まみれのハンカチは汚いなと思いつつも、面倒くさがりな私にとって洗濯する前に旦那のハンカチだけ手洗いするのはもちろん面倒くさいということ。
ポケットのティッシュを確認するのさえ面倒くさがる人間が手洗いの仕事を追加することなどできない。

そんな私はたまに洗濯物の中に紛れる旦那のハンカチを見る度に心を無にしている。


そのうち出家できるかも。

そんなわけない。




追記

やはりみなさん経験がおありなようで。

🥀🎻〜azumi〜🦔🦋 on Twitter: "洗濯機から洗濯物を取り出そうとしたとき、盛大なるティシュペーパーの紙吹雪に出逢った瞬間
#名画で学ぶ主婦業… "

たびまり。 on Twitter: "洗濯機のフタ開けたら、洗濯物が白い繊維まみれに…
「ポケット…確認し忘れてた…」
#名画で学ぶ主婦業… "