アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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マザーズハローワークで大いに励まされた

皆さんは『マザーズハローワーク』というものがあるのをご存知だろうか。
これは子育てをしながら働きたいと願うマザー、つまり母親のためのハローワークであるらしい。
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それでも朝は来る

一昨日、久しぶりの面接に勢いだけで挑んで見事にその場で玉砕した私はべっこり凹んでいた。
7年ぶりに日本で仕事の面接を受けたら落ちた - アルプスから高尾山

でも次男の保育園の入園日も決定した今、私は仕事探しに走り続けるしかない。でも面接官から言われたことが頭の中を反芻し先行きがどんどん不安になる。
選ばなければ仕事は何かしらあると思うが、長く続けるためにも自分が興味がある職種に就きたい。
このままなりふり構わず走り続けるのではなく、ここはひとつ専門家にアドバイスを請うことにしよう。
ネットで近くのハローワークを探したら立川にあり、そこに併設されていたのが『マザーズハローワーク』だった。

便利な街、立川

日本へ帰国してからいろいろなことが久しぶりすぎて何をするにも緊張する。
一昨日の面接でもう1年分くらいの緊張感を使い果たしたと思ったのに、ハローワークに行くのにも緊張している自分がいた。
その理由の1つは立川のハローワークに対するGoogleの口コミで「職員の対応が悪かったので2度と利用したくありません」みたいなことが書かれていたから。そういえば立川の入国管理局も口コミがやけに悪かった(のでそれとなく旦那に行ってもらった)。
その辺に関しては残念な立川だが、侮ってはいけない。都内に3つしかないマザーズハローワークがあり、2カ所しかない入国管理局があり、4カ所しかないパスポートセンターまであり、駅ビルは3つもあり高島屋も伊勢丹もあり、何でもある。
オ〜シャンゼリゼ〜という歌で、『あなたが欲しいものは何でもあるよ、シャンゼリゼ通り』と歌っているが、立川の方が絶対ある。
シャンゼリゼで歌う「欲しいもの=出会い」だったかなと今思ってしまったが、立川駅の人の多さを見れば出会いだって沢山あるに違いない。

潜入!母親のための職安

立川にもってかれそうになったが、マザーズハローワークである。
一歳の次男を連れて窓口が開く時刻の5分後に到着したら、混んでいるかと思いきや私が1番目。次男をお腹にくっつけたまま登録用の用紙を記入していると、すかさずエプロンを身につけた女性が「お子様、見てましょうか」と声をかけてくれた。
せっかくなので私が就職相談をしている間、すぐ隣りにあるキッズスペースで見てもらうことにした。
素晴らしい。これならアドバイザーの方との話に集中できそうだし、振り向けば息子の機嫌もすぐにうかがえる。

相談員の恐るべき説得力

私の担当になった相談員は40歳前後くらいに見える女性。とても丁寧な受け答えだが、口調の端々から姐御肌な雰囲気が出てしまうのが非常に頼もしい感じの人。

私は職種としては事務職を希望していること、そして転職回数が多いのがネックだと思われる自分の職務経歴について心配しているのでアドバイスが欲しい旨を泣きそうな顔で伝えた。
姐さん、こんな惨めな私をお助けくだせえ。藁にもすがる思いでざんす。

すると背後から、息子と遊んでくれていた女性が申し訳なさそうに私を呼ぶ声がした。

「すいません…どうやら催してしまったようで…」

すぐさま息子のおしりに顔を近づけに走ると予想通りの芳しさ。便意は催し終わっていた。
相談員に頭を下げてオムツを交換しに行った。もちろんオムツ交換の場所もすぐ隣りにあるし、壁で隔たれているので匂いもさほど気にならない。
ありがたや。

お腹がスッキリした息子はその後しばらくご機嫌で遊び続けた。
そして、私も相談員の話を熱心に聞いた。
希望職種の決め方から職務経歴書の書き方、そして私が心配している転職の回数が多いことに関しても、わかりやすく具体的なアドバイスをしてくれた。
私は職種を狭め過ぎているので、子供がいることも考えて無理は禁物だと忠告も受けた。いくら私が気合い入れようが子供はまたには熱を出す。このタイミングで自分の希望職種だからといって非常に休みにくい職場に就職し、休む度に胃を痛める必要はないというようなことも言われた。
彼女自身も就労する母親なのだろうか。言うこと一つ一つに説得力がある。

何より特筆すべきはこの相談員が非常に聞き上手なこと。会話しながら、この人は私の話をすごく聞こうとしてくれてるというのを感じる。
そして助言が押し付けがましくない。あくまでもアドバイス、決めるのは本人というスタンス。

そんな人柄に気を許した私は前日に受けて落ちた面接の話もしっかり報告した。反省点がたくさん見つかったので面接を受けたのは有意義だったと思う心境を伝えたが、面接官にいろいろと弱点を指摘された私は内心穏やかではない事も姐さんにはお見通しだ。
そこで、会社や面接官との相性もあるし皆が同じような人を探しているわけではないので、無駄に落ち込む必要はないと励ましてくれた。
たかが面接に一度落ちただけで思っていた以上のショックを受けていた私。ダメ元だったはずなのに、自分の反応の強さに戸惑う。そんな撃沈の末に深い海の底でうなだれていた私を引きずり上げてくれる力が彼女にはあった。

Googleの口コミは“マザーズ”ではないハローワークの相談員のことだったのだろうか。私の担当の人はたまたま当たりだったのだろうか。

姐さんが教祖になったら私、入信してしまいそうです。