アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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嫌われる『イクメン』と、我が家のイクメン

イクメンフォトプロジェクトというのがあるらしい。
IKUMEN PHOTOS|育児を楽しむ|育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト

ツイッターでハッシュタグを付けてイクメンの瞬間を投稿することで参加できるコンクールのようだが、これに対する批判的なツイートが多くて驚いた。

『イクメン』という呼び名を嫌う人々

まずやたら目につくのは「『イクメン』っていう言葉が嫌い」という一文。
嫌いな理由として多いのは、
「父親が育児をするのは当たり前のことだから」。

そして私が興味深いと思ったのは、女性だけでなく実際に『イクメン』張本人である男性たち自身の中にもその言葉に嫌悪感を抱いている人がいること。「『アイドル』じゃなくて『アーティスト』って呼んで欲しい」と言うアイドル歌手みたいだ。


それはさておき、父親が育児をするのは当たり前のことというが、『当たり前』の定義ってなんだろう。
それができない人が多数である状況で『当たり前』とは言えないのではないだろうか。もちろん当たり前になって欲しいし当然のことであるべきだが、共働きの家庭でも家事と育児は女性が担当なんて話はよく聞く。そんな夫に「育児に参加しろ」と言ったところで何をどうしたら『育児』と名のつくものになるのかさえピンとこないのかもしれない。
そう考えると、『イクメン』という言葉があった方がアイコンとして目指すべきイメージが湧いてイイんじゃないかと思ってしまう。

嫌われる要因になっていそうなイクメンたち

ツイッターでイクメンアカウントをちらほら見かけるが、中にはアピール強めなイクメンがいるのも確か。
育児参加が当たり前でないからアピールしてもいいに違いないが、確かにそれを毎日当たり前にやっている母親たちに嫌悪感を抱かせてしまいそうだなと思う。
例えば「めちゃくちゃ疲れて帰ってきたけど子供たちをお風呂に入れてあげた」とかいう類のツイートは、「いや、そんなんいつもやってるし、いちいちアピールうざい」と思われそうだ。


そのほかにイクメンフォト関連のツイートで見かけたのが、投稿された写真のほとんどが「遊んでるだけじゃん」という批判。
きっと「遊んだだけで子育てした気になってるんじゃねぇぞ」ということなのだろう。

私は旦那が子供と遊んでくれるから自分のやりたいことができるわけで、是非遊んでやってくれと思う。
夫が家事をしても、子供が起きている時間帯に自分の趣味に没頭するのは不可能。
むしろ私は今一日中子供といるので、もう遊びつくした子供たちと旦那の帰宅後も遊び続けるより、私は1人でダラダラと静かに洗濯物を畳むからあっちで遊んどいてねと思う。
いや、できれば洗濯物も畳みたくないけどね。

そんな私の旦那はどこに出しても恥ずかしくないイクメンである。

我が家のイクメン

あらかじめ断っておくが、別に旦那自慢をする気はない。
しかし非常に協力的というかむしろ向こうが主導権を握っているほど子育て熱心な旦那なので、これから書くことは自慢みたいに聞こえるかもしれないのであしからず。
(そんなんだから今のところ可能性は低いが、もし近いうちに離婚なんてことになったら親権は旦那にもってかれるであろうと思っている。)


私は彼がこんなに子煩悩になるだなんて、結婚する前は予想していなかった。基本的に落ち着いていて人間はできているほうだと思っていたが、子供がほしいと熱望したこともなかった。
しかし、3年半前に長男が産まれてからそれは始まった。
生後すぐに、いきなり2週間の育児休暇を取った。職場もそういったことに理解があったのでラッキーだったが、彼は「自分は母乳は出ない(あげれない)から」と言って、オムツをめちゃくちゃ替えた。
そして暇さえあれば抱っこをし、見つめては微笑みかけ、後ろ髪を引かれる思いで2週間後に職場に戻ったが、その日帰宅した旦那はニコニコ笑いながら第一声こう言った。

「今日、仕事中にズボンにシミが付いてると思ったら、昨日の夜○○(息子)を抱っこしたときに付いたウンコのシミだったよ!あははは!」


こいつヤバイぞと思った私の予感は的中した。



その後も仕事を終え帰宅するとすぐに子供に走りより、オムツのチェックをし、お風呂に一緒に入り、着替えさせ、寝る前は本を読む。
私はかろうじて食事を作って洗濯は洗って干すが、それ以外は食事の後片付けも洗濯物を畳むのも、部屋の掃除も彼に任せきりだった。

ある晩、私が寝ているとふと暗がりの中に大きな影がユッサユッサと揺れているのに気付き全身の毛が逆立ったが、それは子供の夜泣きに私よりもはやく目覚めた彼が子供をあやしている姿だった。
よく「夜泣きで起きてるとなりで旦那が爆睡してるの見るとムカつく」という母の声を聞くが、私は夜泣きで起きなかったりすることもある、奇跡的にマイペースな母親になった。


とりあえずどんどんやる彼、そしてどんどんやらなくなる私。


そんな私たちを知る友人の一人が旦那を見て「もうそろそろ乳出るんちゃう?」と言うのも無理はない。
私は彼が母乳を出せないことを可哀想に思う。
出すべき人は私でなく彼だ。


彼がこうなったのは私がズボラ過ぎるからなのではと思ったこともあった。私が図らずも彼を「育ててしまった」のではないかと。
それも少なからずある気はするが、それだけならもっと文句が出そうである。

文句はほとんど無いが、たまに彼から出る“提案”は躾に関すること。

「ねぇ、子供に大きい声で怒るのやめない?」

「子供が片付けないからって毎回『おもちゃ捨てるよ!!』って言うのやめない?だって、本当は捨てないんでしょ?」




はい、すいません。


でもうちの旦那って本当にすごいなと思うことが、私が専業主婦なのに家事も適当にしかやらないことに関して全く文句も言わず、それどころか私が子供たちを見ているおかげで自分は働けていると真顔で言えてしまうこと。
家事を完璧にして家で私たちが彼の帰りを待っているときより、子供たちと土にまみれて公園で遊んできたため帰宅時にご飯ができていないときのほうが嬉しそう。
そして彼は帰宅すると自分も空腹なのに子供たちに率先してご飯を食べさせ、床の食べ散らかしたものを掃除し、洗い物も自分がやるから私に休んでいろと言う。

ちなみに彼はたぶん、「ツイッターでイクメンツイートする時間があるならその分もっと子供と一緒に話したい」とか言いそう。
げ。本気で言いそう。



改めて文字にすると怖いな。
数年後にものすごい見返り求められるかも。

とりあえず愛想尽かされない程度に家事しないと。

そして「おもちゃ捨てるよ!!」って言いそうになったら「おもちゃ隠すよ!!」って言わないとな。
これ子供がらみだからポイント大きそうだぞ。



次回、『欧米ってこんなイクメンだらけなのか!?(仮)』に続く。