アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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【バイリンガル子育て】なかなか攻めてるフランス語の絵本

私がハーフの子供を連れているとよく聞かれることがある。
それは「家では何語で話しているのか」ということ。

国際家族の言語事情

私:母国語は日本語。子供たちに日本語で話し、主人にはブロークンなフランス語で話す。

主人:母国語はフランス語。子供たちにも私にもフランス語で話す。日本語も結構話せると思っていたが、先日「やたら」の意味を聞かれて知らなかったことに驚いた。

長男:母国語は日本語とフランス語のバイリンガル。私には日本語で、主人にはフランス語で話すが、最近はフランス語の文章に日本語の単語が混ざることが多い。

次男:「おーじょ(どうぞ、どうも)」と「あっち(熱い、おいしい)」と「うっ(それ)」のほぼ3単語のみを駆使してこの世知辛い世を生き抜く。


ここで浮き彫りになる問題点は、子供たちのフランス語力が伸び悩んでいることである。

長男は3歳になる前までスイスのフランス語圏で生まれ育ったため、日本に越してくるまでは私が日本語で話してもほぼフランス語で受け答えしていた。それが日本に住み始めてからメキメキと日本語会話が上達し始め、日本生活丸1年が経とうとしている今では日本語のほうが流暢。主人にはフランス語で話し続けているが、語彙が増えていないのがちょっと心配なところ。

一方の次男は、まだ1歳なのであまり意味のある単語は出てこないものの、それでも出てくる単語はすべて日本語よりだ。ある日、仕事を終え保育園にお迎えに行くと、保育士さんが興奮気味にその日の出来事を伝えてくれた。「今日のお昼ご飯は『うどん』だったんですけど、○○(次男)くん、すごい勢いで食べ終わって、そのあと他の子が食べているうどんを指差しながら「うっ、うっ」って言ってたんですよ!もう『うどん』が分かるんですねぇ!」
「えと、何を差しても「うっ」なんです」なんて答えて場をしらけさせるのは心が痛むので、「そうでしたか、うどん大好きなんです~うふふ」と答えた。

それはさておき、多言語国家のスイスにはバイリンガルやトリリンガルの子供たちがたくさんいるが、やはり母国語が1か国語だけの子供に比べて話し始めるのが遅いという話をよく耳にする。次男は長男と比べると格段にフランス語に触れる機会が少ないので、このままではフランス語を話すための口や耳が育たないかもしれない。まだ間に合うか。

とにかく早めに手を打たなければ。

国際郵便で書籍を送る

主人に子供たちのフランス語に関して心配していることを伝えると、彼も同じように感じていたとのことだった。語彙を増やすためには本を読むのが一番効果的だろうということで意見が合致し、早速アマゾンでフランス語の本をまとめて十数冊購入し、送付先はフランスに住む義姉の家にして、彼女から日本の我が家まで転送してもらうことにした。

ちなみに日本から海外へ印刷物のみを送る場合、通常の国際郵便よりも安く送れる便利なサービスがある。
特別郵袋印刷物 - 日本郵便

そしてフランスから海外へ送る場合はこちら。(スイスではこのサービスがなく印刷物だろうが値段は変わらなかった。)
Livres et brochures – Entreprise – La Poste


あいつが家にやってきた

フランス語の本のセレクションは主人に任せていたのだが、家に届いた荷物の封を開けると私もスイスの本屋で何度も目にしたことのある青い本が入っていた。

その名も『Caca boudin(カカ ブダン)』
「カカ」とは「うんこ」のことで、普段からよく耳にする単語である。(ちなみに「おしっこ」は「Pipi(ピピ)」)
では「ブダン」とは何のことか。食通の方なら知っているであろう、そう、豚の血でできたソーセージである。
Wikipediaではブーダンとなっている。
ブーダン (料理) - Wikipedia

レバーすらあまり好きではない私は好んで食べないが、主人は大好き。
これ、ご想像の通りただ見た目がカカっぽいということでセットになっている模様。
日本の年頃の子供たちが意味もなく「うんこー!!」と叫ぶように、フランス語圏の子供たちは「カカブダン!!」と叫ぶ。
スイスでは同義語で「カカブチ」という言葉もよく耳にした。これはスイス特有の言葉なのかフランスでも話されているのか知らないが、初めて聞いたときは日本語っぽい響きに感じた。

そして肝心の本の内容だが、ネタバレしない程度にざっくり言うと、何を言われても「カカブダン」と答える子ウサギの話である。もうこの表紙の顔からして小生意気な雰囲気なのに、この子に何言っても「うんこ!」と返事されたら非常にムカつくんじゃないかと予想されるし、そのやり取りで子供を喜ばすだけの本かと思わせときながらちゃんとストーリーもある、なかなか楽しい内容に仕上がっている。

そして、この本が何か国語にも翻訳されているのを見れはその人気っぷりは一目瞭然である。
ちなみに日本語にもしっかり翻訳されており、そのタイトルは『うんちっち』


最初はこんな本を読ませたら四六時中「カカブダン!」と言い出しすのではないかと心配していたが、長男はこの本を気に入ってはいるものの読んでいるとき以外に「カカブダン」と言ったことは今のところない。しかし新しい本のおかげでフランス語の語彙は格段に増えた。

そしてカカブダンとは言わないが、その代わりに近ごろ突然「いっせんまん‼」と言い出した。これは「一千万」、つまり「10,000,000」を意味しているのであろうが、我々はそんな数を口にしたことはここ最近ないし、もしかしたら私が寝言で「一千万円欲しい・・・」とか呟いたりしたのか。郷ひろみなら「億千万」だし、でも郷ひろみ聞いてないし、本当に謎だった。
そんなある日、長男を幼稚園に迎えに行くと、長男がまた「いっせんまん!」と叫んだ。そしてそこをたまたま通りかかった担任の先生が私に言った。
「最近しょっちゅう言ってるんですよ、一千万って。あともう一人、M君(クラスメイト)もよく言ってるんです。なんでしょうね」
これはいい情報を手に入れた。

帰ってから主人にその話をすると、「次にM君のお母さんに会ったらちょっと聞いてみてよ!」と喜んで言った。でも親しい仲でもないただのクラスメイトのお母さんに、「お宅の息子さん、よく「いっせんまん」って言うらしいですね?うちもなんですよー!なんでだかわかりますかー?」なんて言えるか!?言えないよ。
一千万って聞いたらお金のこととしか思えない私は異常なのだろうか。
だって
「今日ね、一千万匹のアリを見たよ」多すぎ。
「お母さん、人口が一千万人の都市ってどこ?」難解すぎ。
お金だとしたら大金だけど家の値段にしては安すぎるし、車かな。どんだけ高級車かよ。
もしかして、借・・・


イエナイヨ。

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