昨日の夜、家に着くと先に着いた長男が「シャワー終わったよ!」とドヤ顔で鏡の前に立ち、一生懸命に夫のクシで髪を撫でつけていた。
怪しい。
すかさず頭の匂いを嗅ぐと、皮脂と汗の混ざり合った匂い。とりあえずシャンプーのいい香りは全くしない。
「シャワーって、体濡らしただけじゃない?シャンプーもしてないでしょ?」
「したよ!」
「ウソはつかないで。髪をどんなにとかしたって頭が臭かったらカッコよくないよ」
「(泣きそうな顔で)どうせ何してもぼくはカッコ悪いんでしょ?サッカーも下手だし、カッコ悪いんでしょ⁈‼︎
わーんわーん」
サッカー関係ないし、今なぜその話を出すのかと聞いたところ、彼は思いもよらぬ告白を始めた。
去年の秋にサッカーの試合でキーパーをしたときのこと。
敵のボールを止めることができずに失点した。そのとき、2人のクラスメイトに言われたそうだ。
「キーパー下手だなぁ!」と。
それを8ヶ月も根に持っているのだという。
何かにつけてそれを思い出し、悲しくなるのだと言う。
さすが、生きにくさを感じている私の息子だわ!と感心したが、今は遺伝子の力に感動している場合ではない。
昔の私ならただ同情して、慰めることしか出来なかっただろう。
だが、今の私は生きにくさに立ち向かう術を習得している最中なのだ!
よくぞお母さんに話してくれたな息子よ。君はラッキーだ。
よし、お母さんと一緒に「ジャーナリング」を始めようではないか。
すぐに適当なメモ帳を与え、鬱憤を紙に吐き出すのだと教えた。
まずはイヤな気持ちになった原因となる出来事を書き留める。誰と誰に何を言われたのか。
すると息子が私に聞く。
「名前に「くん」はつけた方がいいの?」
誰かに見せることが目的ではないので、自分の書きたいように自由に、と伝えると、暴言を吐いた2人のうち、これからも仲良くしたい子は「〇〇くん」、幼稚園以降会わないし、特に好きではなかったもう1人の子は呼び捨てにする、と決めたようだ。
いいぞ、その調子だ。
そして、出来事の後に自分の気持ちを書くように言うと、
びっくりした。
やだったよ。
などと書いた。
と、隣でその様子を見ていた次男も参加してきた。
「ボクもねぇ、保育園で〇〇ちゃんに言われたよ!」
「そうだったの⁈ 何て言われたの?」
「おバカさんって言われた!」
おバカさん。
親が私と同世代だけに、響きが昭和でかわいいなと思いつつ、彼にもノートを用意することを約束する。
長男は三言だけ書き殴り、もうスッキリしたようで、古代生物の動画鑑賞を始めた。
こういう悩みとか、いつまで共有してくれるのだろうか。
声変わりした声で「っるっせーな」と言う思春期の息子を最近やたら想像してしまうんだけど、何なのこれ。
私も長男も過去や未来に縛られてるな。
修行の道のりはまだまだ長い。