アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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大人のポテトサラダとフランス語

私はポテトサラダが好きだ。
サラダなのに食べごたえがあって高カロリーなところが好きだ。
基本のポテトサラダは玉ねぎ、きゅうり、人参、ハムなどが使われることが多く、それはそれでとても美味しいのだが、たまにはちょっと大人風にアレンジしてみるのも悪くない。

今日は私が先日作った2種類のポテトサラダを食材のフランス語と共にご紹介したい。
ちなみに私の料理はいつも目分量なのでポテトサラダを知っている人、作ったことがある人向けのレシピになっている点をご了承いただきたい。

ピクルスのポテトサラダ

スイスではピクルスをよく食べる。
代表的なスイス料理のラクレットのお供には必ずピクルス。
フランス語では『Cornichon』
ネット上で調べると日本語では『コルニッション』になっているが、私個人の意見では(ッ)は省いて『コルニション』と発音したほうがフランス語に近いと思う。
もっと言えばフランス語の『r』の音は喉の奥から出すので、フランス語を話すときはローマ字読みの『ラリルレロ』がなんと『ハヒフヘホ』の音に近くなる。
つまり『コルニション』は『コフニション』そして語尾の『ション』は、あのフランス語の代名詞である鼻母音なので、鼻から抜けるような『ォン』の音が欲しい。
この単語が上手に発音できるだけでフランス語がペラペラに話せるような気になる。

そのくらいフランス語らしい単語、コルニション。
フランス語では他人を侮辱するときに『バカな人』という意味でも使われる。
ついでにジャガイモは『Pomme de terre(ポムドテール)』で直訳すると『土のリンゴ』。
もっとカジュアルに英語のポテトのように『Patate(パタット)』ということもあるが、この単語もコルニションと同様に『バカな人』という意味で使われることも。
フランス人は野菜をなんだと思っているのかと突っ込みそうになったが、日本語でも『おたんこなす』、『どてかぼちゃ』、『イモくさい』など野菜を使った他人を卑下する言葉があるので万国共通なのかもしれない。

そんなおバカな人たちを使ったピクルスのポテトサラダ、作り方はいたって簡単。

まずは材料(量はすべてお好みで)

  • ジャガイモ
  • 玉ねぎ(粗みじん切り)
  • コフニション(5ミリ幅に輪切り)
  • 粒マスタード
  • マヨネーズ
  • お酢
  • 胡椒
  1. ジャガイモを皮付きのまま圧力鍋で10分間蒸す
  2. ジャガイモが触っても火傷しない熱さになったら手で皮を剥き、好みの大きさに切る
  3. ボールにマヨネーズとお酢を合わせたもの、粒マスタード、玉ねぎ、コフニション、切ったジャガイモを入れ混ぜる
  4. 味見をしながら塩、胡椒、なんならマヨネーズとお酢を美味しくなるまで足す

ポイントはジャガイモは皮付きのまま加熱してアッチッチと言いながら手で皮を剥くこと。
ジャガイモを生の状態で皮を剥いてから蒸すより早い!安い!うまい!
あ、安くはないが不器用なせいで皮を分厚く剥いてしまい無駄になる部分は少なくて済むのでやっぱり安い!
もうひとつのポイントはコルニフォンを厚めに切ること。
フォルニコンは歯ごたえ命!


アンチョビのポテトサラダ

アンチョビとはカタクチイワシの塩漬けのオリーブオイル漬け。
これもヨーロッパではよくお目にかかる。
アンチョビという名前、初めて聞いたのはいつのことだろうか。
アンはいいとして、おかしいのはチョビだ。ちょび髭のチョビ。
それがフランス語になると、『Anchois』となる。
これフランス語に馴染みのない人はスペルから読み方を推測するのが難しいと思うが、まさかの『アンショワ』と読む。
アンチョビもなかなかだが、アンショワ。
この『アン』も鼻から抜ける鼻母音。
『アンショ』まではすんなりくるのに『ワ』で一気に裏切られる感じがたまらない。
ある意味、『(小声で)アンショ……
ワーーー!!!』だ。

そんなお茶目なアンチョビを使ったポテトサラダの作り方いってみよう。

まずは材料(量はすべてお好みで)

  • ジャガイモ
  • アンショワ(みじん切り、あるいはペーストを使用)
  • 玉ねぎ(粗みじん切り)
  • にんにく(おろしたもの)
  • マヨネーズ
  • お酢
  • 胡椒

作り方はピクルスバージョンと一緒なので割愛させていただく。
ポイントは胡椒。是非あらびきで、食べたらガリガリするくらい入れてもらいたい。
“大人の”ポテトサラダなので。
あとご注意頂きたいのがアンショワの塩辛さ。
初めてアンショワの缶詰を自分で購入して食べたとき、その小ささに思わずまるごと口に放り込んでしまったが、あまりの塩辛さに寿命が縮まったと思った。
食べた人が「ワーーー!!!」っとならないよう、味見だけは忘れないようお気をつけいただきたい。

多言語国家スイス そしてスイス人とフランス人の不思議な関係

私のスイス人の旦那はよくフランス人の友達と遊んでいる。
先日もそんなフランス人友達の中の1人の家に招待され、家族みんなで遊びに行った。
欧米人が大好きな『ホームパーティー』というやつである。

旦那はスイスのフランス語圏の出身で、同じ言語を話すフランス人とは一緒にいやすいようだ。
フランス人の友達はたくさんいるのにフランス語以外を母国語とするスイス人の友達はそんなに多くない。


スイスには国語が4つある

よく「スイスって何語?スイス語?」という質問を受けることがあるが、『スイス語』と呼べるものは『スイスドイツ語』である。
国内で話している人口が多い順から

  • ドイツ語(スイスのドイツ語)
  • フランス語
  • イタリア語
  • ロマンシュ語

となる。

ちなみにスイスのドイツ語はドイツ人が聞いても理解できないとか。
学校で習うのはドイツで使われているドイツ語なので、日本でいうところの標準語と方言といったところだろうか。
しかも同じスイスドイツ語でも地方によってかなり訛りが強いらしい。
私は東北出身だが、地元の言葉を地元出身者以外の人に話してもほとんど理解されないので、私の中ではスイスドイツ語もそれに近いのだろうと理解している。

また、スイスのフランス語も訛りがあるが、そのままフランス人に話しても問題なく理解される程度。
フランス語はフランス国内でも地方によって訛りがきつい。


バイリンガルやトリリンガルがゴロゴロいる

多言語国家であるスイスには多言語を話す人がたくさんいる。
学校では自分の母国語以外の国語と英語が必修科目になっている。
これだけでまじめにやれば3ヶ国語話せる人になる。
もちろん日本人で英語を話さない人がたくさんいるのと同じように「ドイツ語は8年も勉強したのに全然話せないよ」というスイス人もたまにいるが、日本に比べたら触れる機会が多いし、県内で2ヶ国語話していたりする地方もあるので覚えやすいように思う。
例えばスイスで売られている食品のパッケージの裏を見ると、成分表示はいつもドイツ語、フランス語、イタリア語の3ヶ国語で表記されている。(やたら文字多い。)

また、ヨーロッパからの移民も多く、両親の国籍が違うハーフもとても多いので、それだけでまた言葉が増える。
日本で3ヶ国語以上を流暢に話せる人はそう多くはないが、スイスでは全く珍しいことではない。
そして発音の違いなどに苦しめられることなく自然に数ヶ国語を習得できてうらやましいなと私はいつも嫉妬している。


スイス人同士なのに外国語で話すことも

これは私がヘンに感じることなのだが、スイス人同士でも違う言語圏の人でお互いの母国語が苦手だったりすると(あまり多くないパターンに思えるが)英語で話したりする。
日本には国語が日本語しかないので、日本人同士が外国語で話すことを強いられることはあまりないだろう。
東北のおばあちゃんと沖縄のおばあちゃんが標準語が話せずに言葉が通じないということはあるかもしれないが、そこで第3言語の外国語を用いるというのは可能性はなくはないかもしれないが想像しがたい。
スイスではそんなことがたまに起きたりする。


同じ言語で話していてもフランス人はもちろん外国人

スイス人にとって外国人であるフランス人と同じ言語を話している私のスイス人旦那。
私は「ドイツ語を話すスイス人よりフランス語を話すフランス人の方が親しみを感じちゃうんじゃないの?」と聞くが、彼はそんなことはなくフランス人は同じ言葉を話していようが外国人に感じるし、ドイツ語圏のスイス人は言葉が違えどスイス人同士と感じると言う。(それが紛れもない事実であるし。)

しかしスイスのドイツ語圏では食べ物をはじめドイツ文化の影響を強く感じるし、スイス国内でも言語圏による文化の違いが大きいように感じるので、なんとなくフランス人の方がドイツ語圏のスイス人より私の旦那との距離が近いように見えてしまう。


フランス人との距離感が保たれる理由

先日のホームパーティーには日本人とフランス人がそれぞれ10人近くずついたが、スイス人は私の旦那1人だった。
そしてフランス人たちと話したら、旦那がフランス人を外国人と思う理由がなんとなく分かった。
フランス人はスイス人をやたらネタにしたがるのである。
私も散々このブログでスイスとフランスをネタにしているが、フランス人も他人をネタにするのが大好き。
すぐ隣にある山に囲まれた小さな国は絶好のネタになる。

何を言っていたか思い出してみる。
「スイスは山とフォンデュしかない」
「フランス語が訛っている」
「とりあえず田舎っぺ」
ざっと主要ネタはこんなところである。
以前、フランス人の友達がこんなジョークを私に言った。
「スイス人はカラオケが下手。その理由はスイスで大きい声を出して歌うと山の雪が全部落ちてくるため練習できないから」
これを聞いた私は今の旦那と付き合ったばかりだったのでバカにされたことでちょっと悲しい気持ちになった。(今では失われてしまったこの気持ち。)
しかしこのジョークを他のフランス人に話すとみんな腹を抱えて笑い、ジョークを言った彼を絶賛するのである。

この前パーティーで話したフランス人のうちの一人はスイスに住んだという私にスイスネタをいろいろ話したそうだったが、
「これ言うと怒られちゃうかも・・・他のスイス人の友達に言ったら怒られちゃったから・・・」
と30も過ぎていたずらっ子のような笑みを浮かべるのだった。

スイス人の中にはこんなフランス人を目の敵にしている人たちもいるようで、私の知り合いの1人はフランス人が大嫌いになり2度とフランスの地に足を踏み入れたくないと思っている。
私の旦那はフランス人慣れしているのか、私にスイスの文句をいわれ過ぎて慣れたのか、多少スイスをネタにされたくらいでは怒らない。
彼の愛国心は強く揺るぎないので(決して国家主義者ではない)ちょっと外野にいじられたくらいでは痛くも痒くもないようだ。

そんな彼はパーティーでこんなことがあったよと帰り道で私に報告してきた。
旦那は3人のフランス人を前に話をしていた。
「この前さぁ、下の息子が1歳になったから誕生日ケーキに1本ローソクを立てて火をつけたんだけど、普通なら火傷しないようにとか髪の毛が燃えないようにとか気をつけるんだけどさ、うちの息子は1歳になってもまだご覧の通り髪がないからその心配はいらなかったよ。あはは~」
するとフランス人のうちの1人がこう言った。

「・・・・・悪いけどその話、あまり笑えないよ・・・」

見るとそこにいたフランス人たち3人はみんな仲良く額が後退し始めていた。
それに気づいた旦那はまた1人で笑った。
みんな気心の知れた間柄ではある。
親しい中にも礼儀ありと言いたくなるところだが、彼に悪気は無い。
本当はそれが一番やっかいなのだが、いつもいじられているのでたまにはいいじゃないか。


旦那は家についてからもこのことを思い出し涙を流しながら爆笑していた。
私もスイスをネタにするのはほどほどにしたほうがいいかもしれない。


梅雨入りしたのでTOEICの勉強を始めようとしたら痒くなってきた

梅雨ってあったな

2日前に関東の梅雨入りが発表された。
ヨーロッパにも四季はあるが梅雨はなく、私はその存在をすっかり忘れていた。
こんな歳になっても天気に気分を左右されやすい乙女な私。
昔から雨が続く梅雨の季節は憂鬱だった。
雨が降るからといって家にいることを強いられるわけではないのだが、外に出るのは濡れたりムレたり面倒くさいので家にいたほうがラク。
さて、長男が幼稚園にいる時間帯を家にいながら有効に使うには何をしたらよいものか。

雨の日の有意義な過ごし方

そこで思いついたのが英語の勉強だった。
次男も1歳になるので私はそろそろ就職活動を本格的に始めようかと思っている。
35歳を過ぎての再就職は厳しい道のりになるかもしれないが、今は昔、貿易事務のはしくれをやっていたことがありけりなので、ここはぜひ英語のスキルをブラッシュアップして再就職に繋げたいところである。
とはいうものの最後に代表的な英語の資格であるTOEICというものを受けたのは遡ること17年前。
今ではテスト形式も変更しているようだ。
そんなことよりも問題なのは私の英語力。
スイス人旦那と付き合いだした当初はまさに貿易事務をしていたので職場で英語を使っていた。
そして彼も私もお互いの母国語を話さなかったので、2人の会話も英語だった。
これは紛れもない事実なのだが、私の今の英語力からはにわかに信じがたい話である。
でも一度はそこそこまでいったので、ゼロからのスタートよりは始め易いはず。
とりあえず自分の今のレベルを知るために実際に勉強してみよう。

梅雨が私に味方してくれない

勉強するには教材が必要だが、ズボラで特技が3日坊主な私。
今までお情けの数回しか開かれないまま何年間も本棚を陣取っていた語学の単語帳や問題集の存在を思いだし、ここはケータイの無料アプリから手を出すことにした。
アプリをいくつかダウンロードし、午前中の空いた時間に家の中でとりあえず単語から覚え直そう。
そう思って2日たったが、あれ、昨日も今日もとっても天気がいい。
昨日の朝は、洗濯をして布団を干して気分は上々。
「雨も降っていないし今のうち買い物行っちゃおうかしらー」なんて家を出たら近所のスーパーで数少ないママ友の一人にばったり遭遇。
そのままお茶という流れになり、英語の勉強の予定は日本語会話に変更された。
やっぱり雨降ってくれないと勉強できない。
結局寝る前に布団の中で単語アプリを開いた。
開いて3分で寝た。

体も私に味方してくれない

そして今朝も朝からいい天気。
お弁当を作っていると何だか左手首に違和感を感じた。
見ると虫刺されのようにボコっと盛り上がっている部分があり、なんだか痒い。
うちで蚊に刺されるのは長男の仕事だったのに。(現在は蚊避けも設置済み)
夏が来るぅ~ そして奴も来るぅ~ - アルプスから高尾山

するとみるみるうちに盛り上がりの範囲は大きくなり、次は両肘の付近にも同じような湿疹を見つけた。
これは蚊ではなさそう。じゃあダニか?でも昨日も布団を干したばかりだし。
とりあえず念のため皮膚科に予約の電話を入れた。
その後も体のあちこちにみみず腫れのような湿疹が出てくる。
たぶん蕁麻疹な気がする。
痒くて英語なんてやる気にならないので今こうしてブログを書いている。

久しぶりに勉強なんて私らしくないことをしようとしたから体が拒否反応を起こしたのだろうか。
おまけに再就職を急に思い立った私は、市の認可保育園の空きを待っていても世紀末になりそうなので認可ではない保育園に昨日電話をして見学の予約を入れた。
これにも体がびっくりしたに違いない。
「え、あんた再就職とかする気あったの!?」とあまりの急展開についていけずに蕁麻疹。
「再就職のためにTOEICのスコアを使いたいなら普通もっと早く勉強始めるっしょ。今からじゃ間に合わなくない?遅過ぎじゃね?」で蕁麻疹。

自身の計画性の無さと気分のムラには呆れるが、こんな性格のおかげで今まで変な職場で働いたり変わった経験ができているので『ま、いっか』と思って生きている。
日本では人様に迷惑をかけるなと言われて育つが、こんな性分なので迷惑かけながら生きている。
でも自分は誰かに迷惑かけられても許してあげられる人でありたいし、自分の迷惑を許してくれる家族や友人に感謝を忘れずに生きていきたい。

にんげんだもの
ずぼら

おあとがよろしいようで。
皮膚科行ってきます。

国際結婚あるある 日本語が出てこない

私と旦那は息子達のために家の中ではフランス語で会話することにしている。
スイスにいたころは基本的に日本語で会話をしていた。

スイスではいくら夫婦間の会話が日本語とはいえ必然的にフランス語で話す機会が増え、その当時は仕事もしていたので尚更のこと日中の頭はフランス語モードだった。
また日本人の仲の良い友人たちがいたが、彼女達とはもちろん日本語で会話した。
そして私たちはみんな同じ問題を抱えていた。
それは『日本語の単語が出てこない』ということ。


こんなことを言うと世間の人に「ちょっと数年だけ海外に住んだだけでなにカブれちゃってんの」と思われるかもしれない。そんな批判を両手広げて受け止めたって出てこないものは出てこない。
加齢による記憶力の低下も手伝っているとは思うが、要因はそれだけではなさそう。

私のフランス語は簡単な日常会話レベルでビジネスレベルには到底及ばないが、拙いなりにもフランス語で話す機会が増え日本語をあまり使わないので忘れる。
旦那は日本語を話すが語彙は一般的な日本人に比べたら少ない。
いつも彼が理解できる単語を選んで会話をするため、同じような単語ばかり繰り返し使うようになり語彙力は乏しくなる。

また、私の日本人の友人のほとんどは旦那と英語やフランス語で会話していた。
そうなると日本語を話す機会はずっと少なくなる。


今回は在外邦人を悩ませる日本語をカテゴリー分けしてみる。

熟語や慣用句

特に難しい四文字熟語などではなく、普段使いの熟語が出てこない。
「えっと」と「なんか」を連発しながら記憶の中にかろうじて残っている言葉たちを探る。
すんなり出てこないなら熟語を使わずに話したほうが速いのに、それらを忘れ去ってしまう不安に駆られて無駄に熟語や慣用句を文中に挟み込みたくなる。
小中学生レベルの四字熟語もチャンスがあればバンバンねじ込んでくる。

例:A美「あんたいっつも他力本願じゃん」
  B子「そう、だから職場で四面楚歌なんだよねー」
 A美「自業自得ー!」
 B子「きゃはは、ぐうの音も出ないわぁ」

会話の内容が稚拙でも知的レベルが上がったように聞こえるので「日本語をちゃんと話したい」という自己欲求は満たされる。
 

外来語

フランス語で生活している人にとって日本語の外来語はトリッキーだと思う。
なぜなら英語由来の単語が多いから。
最近では日本でもフランス語由来の外来語も耳にするようになったので、なおさら英語由来の外来語が出にくい。
以前は英語だったのにフランス語をよく聞くようになった代表的な単語を挙げてみよう。

英→仏
チョコレート→ショコラ
チーズ→フロマージュ
ジャム→コンフィチュール
ラズベリー→フランボワーズ
など他にもたくさん。
問題は日本語で会話しているときに『ジャム』という名前が出てこなくて『コンフィチュール』と口走ってしまったら最後、一瞬にして気取ってるやつとみなされる可能性があること。
日本でフランス語はオシャレなイメージなのでアパレルの店名とかフランス語だらけ。
帰国して改めてその多さに驚く。

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店名『有給休暇』
そしてその下はサガンの小説『悲しみよこんにちは』ならぬ『悲しみよさようなら』と続く。


一方でフランス語よりも英語を話す機会が多い日本人はどうなるのか。
スイスにいたころ、そんな日本人の友人の家に遊びに行ったときのこと。

(部屋の中に洋楽が流れている)
私「この音楽って何?CD?それともラジオ?」
友人「え?これはレディオ」
私「……レディオ?……ラジオじゃなくて」
友人「…うん……え?」

彼女は別に徳永英明の熱狂的ファンなどではない。
ただフランス人の旦那と常に英語で会話している日本人妻。
彼女は時折あなたを異次元の世界に誘う。

感嘆詞

先日、旦那が私に唐突に言った。
「え。なんかスイス人みたいになってるじゃん」
私は何のことを言っているのか分からなかったが、どうやら私の『咄嗟の一言』はフランス語(スイス訛り)になっているらしい。
そのとき旦那が突っ込んだのは、私が床に落ちたものを勢いづけて拾うときに出た一言『オップラー(Hop-là)』だった。
日本語で言うところの『よいしょ/どっこいしょ』にあたる単語である。
10年前にこの言葉の存在を初めて知ったとき、私はその違和感に笑ったはずである。
それが今ではこの有様。


他にも自分で気づいているがよく言ってしまうのは『アイ(Aïe)』。
これは『痛い!/やっちゃった!』みたいなリアクションの言葉。
日本語では反射的なリアクションの言葉であろうが、『イタっ(痛い)!』とか『アツっ(熱い)!』とかちゃんと意味のある形容詞になるが、これはうちの旦那に言わせると日本語のおもしろポイントらしい。
確かに危機的状況でもちゃんと説明するのが真面目な日本人らしい気がする。


もう一つ自分で気づいてやめたいなと思っているのにやめられない口癖がある。
それは、相手の言ったことが聞き取れずに聞き返すときに使う言葉。
日本語で『え?』にあたる言葉だが、私は『あぁ?』と言ってしまう。

私は中学生のとき、カナダ人の英語教師デビーが『アァ?』と聞き返してくるのが怖かったのを今でも覚えている。
普段は優しく笑顔が素敵な彼女が急にチンピラみたいな口調になることが怖かった。
20年の時を経て私はすっかりデビーになってしまった。


そして私が発音がとてもフランス語らしいと感じる感嘆詞『Oh là là (オララ)』、英語で言う『Oh no(オーノー)!』のように、びっくりしたときや困ったときに出る言葉。
フランス語圏の人々はよく使うが私はまだこれには手を出していない(はず)。


自分で自覚しているのはこの程度だが、傍から聞いたらもっとおかしな日本語を話している可能性もある。

でも『ショコラ』や『フロマージュ』を耳にするようになった今日、『オップラー』が日本で市民権を得るのも難しいことではないように思える。
オップラー、なかなか可愛いじゃないか。

私がおばあちゃんになる頃には老人たちが皆『オップラー』と言うようになるのを夢見て私は堂々と使い続けることにしよう。

ユニクロとGUのレジの話で拗れる

週末、久しぶりにユニクロで買い物をした。
下着や靴下などが入ったカゴをレジに持っていくと、店員はそれらをカゴから取り出し「計5点で◯◯円でございます」と言った。
何か手順が抜けたような、テンポが狂う感覚があった。
あれ、最近の日本のレジのバーコードリーダーは“ピッ”とかいわなくなったのか。

たいして気にしていなかったが、今日GUでまた靴下を買いに行ったら同じことが起きた。
レジの店員は商品についているタグのバーコードを読んでいない。
カゴから商品を出したタイミングで合計額が言い渡された。

すごい!はやい!

スイスというのどかな国から戻った私は浦島太郎状態で、きっとここに住みつづけていたら何とも思わなかったであろう日本のテクノロジーの進歩に感動しちゃうのである。

alpestakao.hatenablog.com

気になってネットで調べたら見つけた。
ICタグで瞬時に清算ができるらしい。
www.youtube.com

これはスイス人の旦那に報告しなくては。
そして帰ってきた彼にその話をした。

旦那「ああ、それならワタシは11年前のシーテック ジャパン(ざっくり言うとテクノロジーのイベント
CEATEC JAPAN 2018 ( シーテック ジャパン 出展募集 公式サイト ))で見てるよ」



これが噂の『エンジニアと一緒になるんじゃなかった』と思う瞬間である。
今更そんな話してるのかとウトい私を小馬鹿にしたような口調。

所詮、ウトい私には分からないが、分からないなりに彼の興味を察して話題を振ると「それワタシがやってることと違うよ」と素人な私を突き放し、今回のように専門外だろうけど興味あるかもと思うことについて話すとそんなの知ってるぞっていう態度。
ああ、どうして私はいつも彼にやっかいな話題を振ってしまうのでしょう。

そして私もそこで止めりゃいいのに続けてしまう。

私「でもその技術がレジで実用されてるのは見てないんでしょ?すごいはやかったよ」

旦那「あそ。だいぶ前から技術はあったけど高かったから企業も最近まで導入できなかったんじゃないかな。また人手がいらなくなるね」

私「……」



最近、脱主婦が頭をちらつく私。
求人が増えているニュースも聞くかたわら人員削減している大企業があるのも現実。
数年後には就職先が見つかっているといいのだが。
その前に次男の保育園がない。
さて、何から手をつけよう。


とりあえず仕事もないのに手当たり次第に靴下を買うのをやめることから始めよう。
最近、子育てのストレスと自分で稼いだ自由に使えるお金がないストレスから、やたら靴下を買ってしまう。
靴下なら値段も高が知れているし、消耗するので買うことに罪悪感が少ない。
でもすでに買いすぎて私のタンスの靴下コーナーに収まりきらない。
買ったら古いのは捨てるべきなのだろうが、穴が空いていないものは捨てるのがもったいない。
いい加減にしようと思っていたら、今度は息子の靴下を買ってしまうという症状に陥っていた。
そしてこっちも捨てれない。
洗っても落ちない土汚れで茶色くなった靴下たち。
最初はショッキングだが徐々に見慣れて最初から茶色っぽい靴下だったかのような錯覚に襲われる。
捨てどきを逃してしまったタンスのジャガイモたち。
さすがに息子が気の毒になった私が買った息子の靴下を見て旦那が言った。

「ああ、ワタシも靴下買わないといけない」

これは私に買い物をお願いしているという意味にとっていいのだろうか。
彼は服に興味がないのでそういうことにしよう。

気持ちよくあと数足の靴下が買える。
ありがとう、エンジニア。


よーし再就職したら思いっきり靴下買ってやるぞー。
あ、その前に靴下用のタンスも買わないと。

美容院の葛藤

2人の暴れまわる息子がいる我が家は常に散らかり放題。そのため頻繁に掃除機をかけなければいけない。
これは多少の埃には目をつむりがちな私のようなズボラ主婦にとっては、結果的にありがたいことと思うことにしている。
掃除機をかける目的は主に子供たちが食べ散らかし床に落ちたものをキレイにすることなのだが、その際やたら目につくのがあちこちに落ちている私の髪の毛。


ああ。
髪を切りに行きたい。


7ヶ月前に美容院で胸の下まであったロングヘアをショートカットにした。
その後一度も美容院に行けてない。
メンテナンスしていないショートはイケてない。
一ヶ月ほど前、耐えきれずに自分で襟足の髪を5cmほど切ったら頭が三角形になった。
東京のどこかで黒い三角形が歩いているのを見かけたらそれは私かもしれない。

自慢じゃないけど

私が唯一これは他人に負けないと自信を持っているもの、それは髪の毛の量である。
太い、硬い、うねる、という三重苦を背負っているのに、スイスにいたころはやたらこの髪質をうらやましがってくる猫っ毛スイス人女子たちがいた。

「あなた、髪が多くていいわね。コシもあるし」

そういわれるたびに私はあなたのような猫っ毛が羨ましいわと返していた。
私は物心ついた頃から髪が多かった。
美容院に行って美容師から言われなかったことがない。
「髪の毛多いですね」と。

あるときは「今まで出会った中でお客様の髪の多さは5本の指に入ります」と願わずもランクインした。
そしてまたあるときは「髪の毛多いねぇ〜。お父さんはヤマアラシ⁈」と客との距離感を掴むのが苦手な美容師に笑えない冗談を言われた。

人生は似合う髪型探しの旅

前回は久しぶりの日本の、しかも初めての土地での美容院に緊張していたが、美容師の男性は気さくで控えめでとても好感が持てた。
ヤマアラシの人とは対照的。
私がショートカットにしたいと告げると、彼は笑えない冗談を言う代わりに小声で「ツーブロックにしてもいいですか?」と言った。

つまりそういうことなのだ。

髪の毛が多すぎてショートヘアの収まりがつかないので、思い切ってベリーショートにするか、しないなら内側を刈って上から髪をのせるのが最良の方法となるらしい。
案ずることなかれ、美容師さん。
私がツーブロックを提案されたのは初めてではありません。

「はい、お任せします」
私はそう答え、手元の雑誌に目をやった。
そこには私の髪質じゃ到底できないようなふわふわパーマのロングヘアの女性がいた。
パーマは若い頃に何度かトライしたが、あまりフェミニンな雰囲気にはならず、ただ雰囲気だけで言うなら欧陽菲菲にはなれた。

この毛量を携えて生きるには多少の諦めが必要である。
ファッションに興味を持ちはじめた中学生のころは、雑誌の中で気に入った髪型のモデルの切り抜きを握りしめて美容院に行った。
自分の髪の量や硬さは自覚していたが、憧れは『外国人風くせ毛ショート』。
工夫すればちょっと寄せれるはずと、どこか夢を捨てきれない自分がいた。
そのせいで何人の美容師を悩ませただろう。
「お客様の髪質でこのヘアースタイルは難しいと思います」と言いにくそうに伝えてくれた美容師もいた。
「仕上がりは多少変わりますがよろしいですか」
そんなことも何度も言われた。

中学3年のとき、懲りずにハーフモデルの切り抜きを握りしめて美容師に行き、不可解な不揃いザンギリ頭になる。
切った直後は「これでいいんだ。これが個性だ」と謎に自分に言い聞かせていたが、誰がどう見たっておかしい髪型だったことに気づいたのは、出来上がった卒業アルバムに載った自分の写真を見たときだった。
それ以降、私は『外国人風』を封印することを心に決めた。

『◯◯さんみたいな髪型にしたい』が言えない

先日、テレビを見ていたらたまたま出ていた小松菜奈という女優がとても素敵なショートカットをしていた。
髪が切りたい私は「これだ!」と心の中で叫んだ。
しかし美容院で自分より10歳以上も若い女優の名前を出すのは何となく気が引ける。
若作りしたいアラフォーとか思われたらシャクだ。
他にショートカットがトレードマークの有名人いるかな。

すぐに思いついたのは芸能界の女帝、和田アキ子だった。
ショートにはしたいけど和田アキ子のショートは好みではない。
それ以前に彼女やたら髪がツヤツヤでサラサラだから私の髪じゃ無理。
その次に思いついたのが片桐はいり
2人とも小松菜奈からのギャップがすごいのは置いといて、誰かの名前を出すと(この人、その人みたいになりたいんだな)と思われるような気がして恥ずかしい。
小松菜奈の髪型にしたいけど私は小松菜奈になりたいわけではない。
いや、なれるもんならなりたいけど、なれないことは分かっている。
とりあえず三角形が普通のショートカットになれば小松菜奈にはならなくとも今よりマシな母さんになるはず。

ちなみにこんな母さんから生まれた長男の髪質は私のに似ている。
まだ3歳なので質感はサラサラだが硬くて量も多い。
ただ色が茶色いのでボサボサでも気にならない。
次男は髪があまり生えていない状態なのでまだ何とも言えない。
もし長男がこのままずっと私のような髪質で成長して、『外国人風』のヘアスタイルを注文したらどうなるのだろうか。
髪がどうなろうが顔が外国人風なら外国人風に見えるのだろうか。
いや、そんなことより次男の髪が無事に生えるのかが心配だ。
今のところ左耳の後ろの毛だけがくらげの触手のように伸びつづけている。


alpestakao.hatenablog.com

代々木公園 欧米人には天国 日本人にはカオス

先日、友人に誘われたピクニック de 代々木公園に一家で参加した。
代々木公園に行くと必ずと言っていいほど外国人と日本人が一緒にワイワイしている集いを見かけるが、私たちもたまーにそういうところに混ざっている。

私が代々木公園に行くのは帰国してから2度目だった。
前回訪れたのは3月上旬で、参宮橋門という原宿駅の反対側の入り口から公園に入った。
入り口付近には犬の散歩をする人たちがたくさんいて、奥に進むと早咲の桜が咲いており、そのまわりには記念撮影をする人たちが集まっていた。

変わるけど変わらない

今回は原宿駅から向かう。
私のようにたまにしか行かない人間にとって、原宿駅近辺は来る度に景色が違う不思議な場所。
今回は駅のホームが工事中。
原宿駅から代々木公園に行くには神宮橋を渡るが、そこでは一組のバンドが演奏をしていた。
(そういえば数年前まで見かけたビジュアル系のコスプレ族は今何処。)
バンドメンバーは20代くらいの男性3人と女性1人。男性ギタリストの真っ赤なエレキが印象的。
そしてサウンドはどこまでもポップ。もしやバンド名は『ハッピー』なんじゃないかと思うほどうきうきなギターポップ
カジヒデキとか懐かしい名前が思わず頭に浮かぶ。

“ハッピー”を横目に公園の入り口まで来ると流れてくる音楽がガラッと変わりロカビリー。
そしていたいた。代々木公園名物のツイストおじさんたち。
80年代に流行ったローラー族という人たちらしいが、激しくツイストする人たちの中には白髪リーゼントのおじさんまで。時代を感じる。
ちなみにどうでもいいがリーゼントはフランス語でバナーヌ(バナナ)。
半袖Tシャツ姿でも暑くて汗が出るのに、全身デニムで革靴を履いて踊るこの方たちも普段はスーツ着て会社員しているのだろうか。


代々木公園っぽい人たち

公園の中を進むとその眺めに思わず顔がほころぶ。
ここにいる人たちを見ると「ああ、代々木公園に来たんだな」と思う。
よくいるのは民族楽器を演奏する集団やジャグリングを練習する人。
他に目に入ってきたのは派手な服を着た女性とそれを写真に収めるカメラマン。
そして奇抜なダンスを教える男性とそれを習う3人の女性。

この日一番気になった人は『無料人生相談』という看板を掲げて一人で座る男性。
通りがかりに横目で確認できたその出で立ちはヒップホップっぽい(?)ファッション。
黒いタンクトップに黒いキャップ、そして黒いサングラスに微笑を浮かべている。
年齢不詳だが40は過ぎていそうな雰囲気。
他人の相談にのれるくらいなのできっと人生経験は豊富なのだろうが、無料と言われても近づくのに勇気が要る。


失って初めて気づく

そんな思い思いに休日を楽しむ人たちのあいだを通り抜けて友人たちのピクニック現場までたどり着いた。
そこには私たちの友人の他にもたくさんの人たちがいて、総勢20名はいそうだった。
その中にいた初めて会うアメリカ人の男性と何となく話し始める。
日本語が堪能な彼は日本に住んで12年になるらしい。
彼が日本に住んでいる理由の一つが、まさにこのピクニックのように外でビールを飲みながら友達と時間を過ごせるからだという。
私は彼と話すまで知らなかったのだが、アメリカのほとんどの州では公共の場での飲酒は禁止されているらしい。
そう言えば、私が2009年にワーホリで滞在したフランスでは人々は街のあちらこちらでビールやワインを飲んでいたが、その数年後にパリに遊びに行き思い出のポンデザール(Pont des Arts)という橋の上でピクニックをしに行くと公共の場での飲酒は禁止されていた。
法律が施行されたばかりだったのか、橋の上には警察官が何人も目を光らせ人々が背後に隠しているワインボトルを片っ端から没収していった。
大勢の警察官に睨まれながらのノンアルコールなピクニックは、私の人生におけるワースト・ピクニックの座を揺るぎないものにしている。


これらの国から日本に移住してきたお酒好きな外国人にとっては代々木公園のような場所は天国のようだ。
休日の真っ昼間から青空の下で友人たちと語らいながら飲むビールは最高なのである。


しかし日本でも東京オリンピックに向けて法整備が行われ、もしかしたら喫煙同様、飲酒に関する法律も変わってくる可能性もあるかもしれない。
公共の場での飲酒が禁止になると何が起きるか。

お花見でビールが飲めなくなる。

これは非常に悲しい。
そんなお花見いらない。

alpestakao.hatenablog.com


そうそう、スイスもまだ公共の場での飲酒は禁止されていない。
スイスからこの楽しみをとったら本当にチーズとジャガイモとチョコレートしかなくなる!


あと山!